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⑦
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次の日、浅海は今までとは違ってすっきりとした清々しい表情をしていた。
なんだろう、言いたくてたまらない。
言いたい、瀬世に話したい――
「瀬世、ちょっと……」
朝のホームルームで、浅海は瀬世を呼び出した。一緒に教室を出る。
「……何、先生」
「離婚することになった」
浅海は瀬世の顔を真っ直ぐ見つめた。目をそらさずに、じっとその瞳を。
「……やっと、先生がオレのものになるってことだよね」
瀬世は浅海をぎゅっと抱き寄せる。ふわりと良い香りが鼻孔を擽った。
落ち着く。良い匂いだ――
「――……嬉しい」
その声はまるでシルクのように滑らかだった。
嗚呼、やっぱり良い。
この胸の中がたまらなく心地良いんだ。
でも、絶対言えない。言いたくない。好きなんて言えるはずがない。
だって――
「瀬世……苦しいよ」
「……まだもう少し」
言ってしまったらきっとタガが外れて自分じゃコントロールが効かなくなってしまう。
また、同じ失敗を繰り返してしまう。
きっと、また離れていってしまう。
そんなことがもうないように。そんな悲しいことがもう二度とないように。
「なぁ、そろそろ……」
「……嫌」
そう思っても身体は正直であった。
心臓は激しく脈打ち、体温は上がる一方。瀬世の吐息が耳にかかって、思わず反応してしまう。
その様子に瀬世がクスクスと笑って、わざと耳に息を吹き掛ける。
「ば、か……ッ。やめろっ」
「……先生、好きだよ」
「言うな! やめろっ!」
もう二度とないように。
――それでも、この体温から離れられないでいた。
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