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Act 4,新生活 ①
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離婚してから一ヶ月が経った。
咲との二人の生活にも慣れ、平穏な日常を取り戻しつつあった。
まあ、生活に面倒なことが更に追加されてしまったのだが。
「……先生、お腹空いたよ」
「じゃあ家に帰れ……!」
瀬世が毎日浅海宅にやってくることである。飽きもせず、浅海が帰ってくると、悠々とソファーに座りコーヒー片手に勉強している。
咲ともすっかり打ち解け、もう浅海宅にいるのが普通のようになっているのだ。普通に家に入れてもらえるのだ。どうなっているんだ本当に。
「おい……本当に毎日毎日、お前何しに来てるの」
「……先生の手料理食べに」
「家に帰って食え」
こうやって毎日毎日浅海の手料理をねだっては満足して帰っていくのだ。
さすがに今日こそは厳しくいかなくては。
「お母さんの料理を食べなさい」
「……先生のが美味しい」
畜生、嬉しいこと言ってんじゃねーよ――
浅海は笑ってしまいそうなのを必死に我慢した。そのためか口元が歪んでしまっている。
「お父さん、顔変だよ」
浅海の分のお茶を持ってきた咲は、浅海の顔を見ると露骨に顔を歪めた。
「う、うるさい……。まぁ、良い。今日はカレーだ」
そう言って浅海はキッチンに向かった。
「……優しいねぇ」
瀬世はにやりと笑った。
「ねぇ」
咲が瀬世に話しかけた。
いらない血が混じってはいるが、一応浅海の娘なので仲良くしている。顔も似ているので、どこか話しやすい。
「……なあに」
「瀬世さんってお父さんのどこが好きなの?」
「……そうだなぁ、んー」
ちらりと浅海を見ると、無心で野菜を切っているところであった。その姿に思わず笑ってしまう。
「……可愛いところだよ」
瀬世は愛しそうに浅海を見つめてそう言った。
それを感じとった咲は、ふぅん、と呟いた。
「じゃあ……お父さんをよろしくお願いします」
「……こちらこそ」
瀬世は含みを持った笑みを浮かべた。
何かを企んでいる――と、咲はひしひしと感じていた。
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