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③
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今、浅海は瀬世に手を引かれて夜の街道を歩いている。
目的はただひとつ――ホテルでヤること。
気が狂ってるんじゃないのか……!? ――
しかし、抵抗しようにも瀬世の推進力は半端なものではない。むしろ、浅海が引きずられてしまう。
そんなこんなで抵抗も出来ず、ホテルにのこのこ入ってしまった。
「……浅海さん」
「え」
思わず素の返答をしてしまった浅海の顔は、表情筋が死んでいるのか張り付いていた。
「……先生なんて呼んだら、誤解生んじゃうでしょ」
「あ、そっか……」
浅海の世間体をちゃんと考えてくれる瀬世に、少しどきりとする。
ん、あれ……。いや、いやいや! ――
「まずホテルに入る時点でおかし――」
その瞬間、瀬世は浅海の頬を鷲掴みした。
「……騒ぐなよ」
ピリピリした雰囲気に気圧されてしまう。
「ふぁ、ふぁい……」
そう言うと、瀬世はにやりと笑って力を抜いた。
どうしたというのだ、一体。
浅海は瀬世の制服隠しに貸した上着の袖をくいっと引っ張った。
「おいどうしたんだ、そんなにピリピリして」
すると、瀬世はギラギラした瞳で浅海を射抜いた。
「……何言ってるの。もう一ヶ月もセックスしてないんだよ。明日は学校も休みだ。先生の生活が落ち着くまでずっと我慢してたけど、さすがにもう無理」
単なる性欲からくるイラつきだったことに少し落胆した。
例えどれだけ身体を重ねても、瀬世のことは一生わからない気がする。
この悪魔のような男は、何を思って人を嘲笑っているのか。何を思ってその冷めた瞳の色を変えるのか。何を思って、浅海に執着するのか。
――何も、わからない気がする。
きっと、わからせてもらえない気がする。
彼はきっと、ずっと、心を見せたことなどないだろうから。
でも、それなら自分が"最初"になることは出来ないだろうか。その心に穴を開けて、溜まりに溜まったった『何か』を抜くことは出来ないだろうか。
どれだけ好きと言おうと、その内は読めない。本当はどう思っているのかということも。
「……行こうよ」
「あ、あぁ……」
後何回身体を重ねれば、お前はオレに"笑って"くれる……? ――
考えても、答えは出ないに決まっていた。
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