アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
83
-
それまでの数日は仕事にも身が入らなかった。もちろん、受付業務はきちんとこなすが雑務が進まない。
「かなくん、ICカードの返却処理溜まってるよ?大丈夫?」
「あ‥すみません‥。急いでやりますね!」
「お疲れ?岡田次長と一緒に暮らすようになって、寝不足なんじゃないの?」
クスクスと揶揄ってくる竜さんに、愛想笑いを返す。
「大丈夫ですよ。今日は営業部宛のお客様多いね。」
「あぁ。商品部から新しい保険プランがでたんだって。だからパンフレットやホームページでも掲載するし広報部も営業部も忙しいんじゃないかな。」
「そうなんだ‥。」
だからだったんだ‥。
実のところ樹さんは今週ずっと残業が続いており、要は先に寝てしまう日が続いていた。変わらず朝は一緒に通勤しているが、青森次長とのことは話さずにいた。
樹さんは仕事の話を家で話すタイプではない。聞いても分からない話が多いだろうし、内うちの話を漏らすわけに行かないのだろうが‥でも寂しくなる時もある。
自宅では時折、仕事用のiPadに向かい真剣に作業や考え事をしている。
その横顔を眺めながら読書するのが最近の要のお気に入りの時間なのだ。
こんなに仕事に誇りを持っている人から仕事を奪えないよ‥‥‥。
自分の判断を正当化するかのように、何度も何度もそう思うようにした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
83 / 321