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「竜さん、あのね。僕週末、旅行に行ってくるね。お土産何が良い?和菓子は好き?」
ここ数日ですっかり朝の恒例になってしまった来客予定の書き写しをしながら、今1番楽しみにしていることを竜さんに話した。
「へぇ〜。良いね。どこまで行くの?この時期だから紅葉狩り?」
パソコンを見ながらさらさらとメモ帳に書いて行く竜さんは嬉しそうに僕の話を聞いてくれる。
「うん。箱根だよ。近いし車で行くか、電車かまだ悩んでるんだ〜。誕生日だからって樹さんがちょっと良いお宿、予約してくれたの!僕はそんな贅沢しなくてもって思うんだけど‥初めて一緒に過ごす誕生日だからって‥えへへ。」
ガタッ!
「誕生日ってかなくんの?」
竜さんが僕のほうへ体ごと向き直す。
「そ、そうだよ。」
「言ってよ!水くさいなぁ。俺も何かプレゼントしたい。何か欲しいものある?」
「えっ、ありがとう‥そんな風に言ってもらえると思わなかった。その気持ちだけで僕、充分嬉しい。」
そう言うと竜さんは少し困ったように笑う。
「そ?俺はかなくんが心から笑っててくれるのが1番嬉しい。誕生日、岡田次長と思いっきり楽しんでこいよ。お土産話、楽しみにしてる。」
今日も午後の来客予定が1件消えてしまっているものの、メモにしているため大事にならず順調に時間が過ぎていった。
ピピピッ
竜さんの休憩中、内線が鳴り響く。
え‥‥非通知‥?
「はい。受付でございます。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
「ご用件をお伺いいたします。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
な、何‥‥。内線で非通知ってかかってきたことないし‥。
「あっ‥あの‥!」
‥‥‥プツッ‥
切れちゃった‥‥。何だったんだろう‥。
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