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約束
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それは暖かい陽射しが照らす、春の陽気だった。僕には2歳 歳上の幼馴染みがいた。名前は金本 謌(カネモトウタ)君。隣に住んでいて、いつも優しくて、よく一緒に遊んでくれた。だけどそんな仲の良かった僕達にある日お別れがきた。
謌君のお父さんが遠くに転勤するから、家族で一緒に遠くに引っ越すらしい。小さかった5歳の僕には難しい話だった。だから行かないでと泣いた。だけど運命は変えられなかった。そして、謌君が引っ越す日が訪れた。
その日、僕はいつもより機嫌が悪かった。そして、最後の挨拶の時に僕は彼とは目を合わせなかった。だって彼と目をあわしたら泣いてしまう気がした。だから口を接ぐんでそっぽを向いた。そんな僕に謌君は、こういって言葉を残した。
「いつか必ず会いに行くよ、今は無理だけど必ずお前に会いに行く。だから待っててくれ……!」
謌君のその言葉を聞いた僕は嬉しくなった。だからつい、何度も聞き返した。
「ほんとにほんとだよ……!?絶対だからね、僕ずっと待ってるよ!」
「ああ、約束だ総太!」
最後の別れに僕達は小さな約束をした。そして謌君は、遠い街へと引っ越した。その最後の彼が僕に手を振ってくれた姿が、今も忘れられなかった――。
あれからもう11年が過ぎた。最初は、謌君とは何度か手紙のやり取りをした。だけど幾つもの年が過ぎると手紙の数も段々と減っていった。そして、しまいには音信不通になる時期もあった。もう彼には僕は過去の存在なのかもしれない。だけど、どうしても忘れられなかった僕は、ついに行動に出た。
15歳の冬、風の便りに僕はある学園を受検して見事に合格した。そして翌年の春、「ボーイズビーアンビシャス学園」に入学した。ここには謌君がいると言う話を聞いたからだ。だから彼には内緒で受検した。最後に彼とあったのは11年前、あの引っ越しの時で僕の時間は止まったままだ。今頃、随分と大人っぽくなってるに違いない。ついでに身長も伸びていて、顔つきや、声も変わってるかも知れない……。きっと僕にあったらわからないかも。僕も大分、成長した。彼が僕にあったらどんなに驚く事か。そう思うと自然に胸が弾んだ――。
クラーク博士の言葉
【少年よ、大志を抱け】
僕にとっての大志、夢とは、希望とは、この門の先に、まだ見ぬ未来と夢があるのかも知れない。僕は門の前で軽く深呼吸をした。そして一歩、前に踏み出した。
「よし、行くぞ……!」
思いきって一歩、前に踏み出した時。僕の未来が動き出した――。
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