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彼の名は……
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ひどい目にあった僕はそこで気を失った。そして、夢の中で誰かの温もりを感じていた。そう、まるで彼におんぶをされている感覚だ。何故かそれがとても懐かしい。昔、謌君が僕の事をおんぶしてくれたのを思い出した。
暖かくて広い背中だ……。
何故か居心地が良い……。
そして僕は無意識に夢の中で彼の名前を呼んだ。
「ん……。謌君、やっと会いに来てくれたんだ……」
「気がついた?」
「えっ……!?」
近くで誰かの声がハッキリと聞こえた。その瞬間、僕は慌てて目が覚めた。
「酷い顔、大丈夫?」
「っ……!?」
顔を上げた途端、近くで誰かと目があった。その人の瞳は、まるでガラス細工のような綺麗な緑色の瞳をしていた。
「あれ、謌君……?」
「残念。違うよ――?」
「僕はどうしてここに……?それに貴方は……?」
不意に尋ねると、彼は後ろを振り向きながら話しをした。
「さっきは酷い目にあったね、あいつらは手荒れでいつもあんな感じなんだ。疑り深い癖はなおらないみたいだね。君が彼らに連行される所をたまたま僕は見かけたんだ。もしやと思って彼らの後をつけて来たけど、あれはやりすぎだ。今度、生徒会で会議をしなくちゃな」
「生徒会……?」
「ああ、でも彼らは風紀委員だから行きすぎてしまう行為もあるが、出来たら許してやってよ。彼らも悪気は無いからさ?」
僕はその言葉に思わず反論した。
「でも、風紀委員だからってあれは酷いと思います……!僕は彼らに酷い目にあったんですよ……!?」
「そうだね、君が怒るのも分かるよ。だけどね……」
「もういいです……!」
彼にそう言って言い返すと、僕はツンとした態度でそっぽを向いた。
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