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ガランと体育館の扉が開かれた。静けさが漂う会場に一際デカイ音が鳴ると、周囲は一斉に振り向いて扉の方へと注意した。そして外から車椅子に乗った少年が現れた。その車椅子を後ろから松本が手で押していた。その隣で浅川が深刻な表情をしていた。彼らが現れると、周囲はザワついた。
「一体、何事ですか浅川先生……!?」
きつめの眼鏡をかけた女性の教師が浅川の方に駆け寄ると、不謹慎とばかりに詰め寄った。すると浅川は前に出て総太の前に立って説明した。
「ああ、これはこれは教頭先生。いえ、ちょっね。怪我をした生徒を連れて来たんです。彼は新入生の1年B組の生徒になります。どうやら今朝、校内の階段場で足を滑らして挫いたみたいです」
「んまぁ!それは大変だわ!?」
「はい、そうなんですよ。だからちょっと保健室で彼を看てあげた所です」
浅川は平然とした表情で話すと、好い人良さそうな笑みで爽やかに笑った。
「まあ、災難だったわね!あなた大丈夫!?」
「はっ、はい……!なんとも……いっ、いたっ!」
その瞬間、浅川は後ろから総太の足を靴でガンと踏みつけた。足を踏まれると、総太は堪らず声を上げて痛がった。
「おやおや、大丈夫かい総太君?なんだか顔色も悪そうだ」
そう言って白々しく話しかけると、浅川は彼の前に立って屈んで話しかけた。だが、その表情は目が据わっていて、心配どころか威圧さえ感じた。
「その、ちょっと足が痛いです……!」
そう言って答えると、自分の顔をひきつらせた。
「顔色と足も悪いんじゃ、このまま入学式は無理そうね。浅川先生、彼を保健室に――」
「間城君、どうする?保健室で休むかい?」
「い、いえ……!椅子に座ってれば大丈夫です……!」
「わかったわ。では、松本先生。彼をそのまま席に座らせて上げて下さい」
「はい、教頭先生。了解しました」
そう言って松本は教頭の指示のもと、新入生達がいる席へと彼を乗せたまま車椅子を押して歩いた。騒ぎが一段落すると、教頭は浅川にひと事話した。
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