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55 誘拐7
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『さっき、俺は"気晴らしのため"って言ったけど本当の理由はそこじゃないからね』
「じゃ、なに?」
『君のお父さんがキーワードだよ』
父親...なんで俺に関わってるんだ?
もしかしてこんな事をさせてるのは父親ってとこ?
でもそうだとしたら何故だ
心臓がうるさいくらい心拍数が上がる
『もう分かったでしょ』
「...しら...ない」
分からない
だって父親は俺が嫌いで、、
『俺たちに誘拐しろと命令して君を売っている張本人は波多野 龍一さんだよ』
どうして?あの人が
俺は捨てられたはずだよ
放心状態になった蘭夢は床をジッーと見つめている
『蘭夢くんが邪魔なんだって』
知っている
俺が邪魔者だって事ぐらい
でも心のどこかで、また家に帰ってきてくれるとか、必要とされたいなんて思っていた
そもそも父親の本名だって中学校の時にインターネットで初めて知った
ずっと俺と同じ苗字の南かと思っていたから
『しかもここで再びビックニュース!小学校のころの蘭夢くんを一人ぼっちにして育児放棄をしていた
お父さんは何をしていたと思う?』
「やめ、ろ...っもういいか、ら」
聞いたら可笑しくなる
これ以上俺をどうしたいんだよ
『まだ7歳の君を放棄して、10年間不倫していた女優さんとまた子供を作ってそっちを可愛がっていたんだよ。今は幸せな家庭を築いているんだって』
「...」
何故だろ
あんなに父親の事が大好きだったのに、涙一つでない
今までなんで生きてたんだろ
どうして生まれてきたんだろ
『俺たちは波多野さんからの仕事で今こうして蘭夢くんをめちゃめちゃにしてるし、それで俺たちは金を稼ぎ、生活してる。俺たちにとって蘭夢くんは必要とされているんだよ』
だれがこんなヤツらに必要として欲しいなんて言った?
まるで、
「クソだな」
『はぁ?』
「お前らも父親もどこまで俺を追い詰める訳?俺何かした?生んだのだってあいつらの勝手だろうが...なんでっ...おれっなにもしてないのに...」
蘭夢は壊れたかのように腕に嵌められた鎖を精一杯引っ張った
すると男が蘭夢の髪の毛を掴んだ
『そーゆのがうざくて鬱陶しいんだと思うけど?もっと波多野さんを考えろよ、全部、全て、何もかもお前が波多野さんの人生を変えたってことをいい加減わかれ。お前が悪い』
俺が悪い
俺は邪魔もの...
鬱陶しい...
考えろ...人生...変えた
「ごめんなさいっ...ごめんなさいツ...ごめんなさい...ごめんなさい...悪い子でごめんなさいツ、お父さんごめんなさいっ」
ここにきてから何度目かの涙を見せた蘭夢は今までにない大粒の涙を流し、人が壊れたかのように繰り返し謝った
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