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67 病院生活
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決して病院生活が楽しいものではない
だって点滴邪魔だし、飯は不味いし、何より暇だ
快は日本で最も偏差値の高い大学の入試を控えてる上に医学部を目指していて勉強の真っ最中
大学の試験を受けることも医学部を目指している事も昨日初めて知った
俺は誘拐されたとき快は俺を探すのに必死だったって田中さんに聞いて本当に嬉しくなった
勉強よりも俺を優先してくれた事に
でもなぜ前々から決まっていた事を俺に教えてくれなかったんだと少々怒りと嬉しさが交わる
今日も快は勉強をしているらしく田中さんがお見舞いに来てくれて身の回りの事を管理してくれていた
「快さ、今まで田中さんと俺を離していたのに何故急に俺の事を田中さんに任しているんだろうね」
「ふふ。快様の心が広くなったのではないでしょうか?きっと蘭夢様が快様にお好きになったお気持ちをお伝えしたからですよ」
花瓶を持ち上げ棚を拭く田中さんは微笑み久々見た笑顔に蘭夢も釣られて笑ってしまう
しかし蘭夢はまだ快に対し、ちゃんと好きという気持ちを伝えていなかった
「あのさ本当に俺...快が好きなんだ、捕まってた時も泣きながら快の助けを呼んでて、夢にまで快が出てきてさ」
「相当お好きなのですね」
「そうみたい。でも夢の中で快に触れようとした時、触るなとか汚いって言われて...現実に戻った時、確かにそうだなって思ったんだ。こんな汚い俺が快の助けなんて求めちゃいけないんだって。全部俺のせいで...中途半端な気持ちで快に好きとか言っちゃいけないんだよ...俺、怖いよ...絶対に今の俺は快に嫌われてるに違いない」
「そう、快様に言われたのですか?」
「言われてない。言われてないから怖くて怖くてたまらない...今回の事件が解決してから1度も好きと言われてないし、きっと父親と一緒で俺を捨てるよ...」
すると左頬にバチーンという音と共に痛みが走り、溜めていた涙がこぼれ落ちる
「あなたを捨てた父親と快様を一緒にしないで下さい!!怖い?ならどうして言葉にしないのですか??思われてるとか、言われてないとか、そんな思い込みで自分を責めて苦しくないですか?!言葉にしなければ何も伝わりません。快様は蘭夢様を軽蔑するような人ではありません。全て考え直し、率直なお気持ちをお伝えください」
田中さんは「出しゃばりすぎました。申し訳ございません」といい病室を出ていった
確かにそうだ...田中さんの言ってる事は間違っていない
いつからこんなに自分を責める性格になっていたのだろうか
勝手な思い込みで自分を苦しめてたんだ
馬鹿だな俺...
快が俺用に置いていった携帯電話を手に持ち、すぐ快に電話した
1コールですぐ快声が聞こえた
「どうしたの?」
「あのさ...勉強で忙しいのは分かってるけど...今から病院に来れない?」
「え?でも田中が────」
いつも俺を優先する快だが勉強を手放せないのか、なかなか応えてくれない
「快に会いたいんだ」
率直な気持ちってこうゆうことだよな
きっと俺の顔は茹でダコみたいに真っ赤なはずだ
「スグ行く」
この病院から快の家はそう遠くないと快が言っていたから走ってでも病院に来るだろう
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