アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
93 元通り3
-
さっきの様な笑いはやっと収まり、真剣なムードになる
「俺、蘭夢に早く会いたくて卒業式を終えて真っ直ぐ帰ろとした。だけど俺のクラス委員長が飲み会するから店に行こうって、俺を連れ出したんだ...学校ではうちの委員長、男にだらしないって言われててさ...なのに俺、すぐ済ませることを条件について行ったんだ」
「あ~もしかして、委員長は髪の長い人?」
「そうそう!ってなんで知って...?」
「まぁまぁどうぞ続けて」
快は不満そうな顔を浮かべるが話を続けた
「それで、付いていったら使わなくなった工場の前だったんだ。その中にはあの、波多野さんの手下達のたまり場だった。しかも委員長の彼氏が、その手下の中でも1番偉そうな奴だ」
女と手下が繋がって...しかもこの期に及んでまだ、あいつの苗字が出てくるとはね
流石に腹が立つ
「俺が蘭夢を助けに行くために虱潰しに波多野さんの事務所に殴り込んだ時、俺に潰されたのがそのうちの手下達。あいつら曰く、波多野さんに捨てられたらしくて...だってあいつら実際弱かったし?そんなぁ?捨てられてもぉ?当然じゃん!それを俺のせいだとかほざいててさ」
お前が強過ぎるんだよ
しかも、話しながらちょいちょい侮辱してる上に口が悪くなってきてるよ...
「お前も仕返してやれば良かったのに」
「それはしたく無かった。低脳相手に手を出したら負けな気がしたし...んで、めっちゃ挑発したら殴られて酒飲まされた。恐らく、酔ったところを犯そうとしたんだろうね。酒はほとんど60~90度超えだったし。そしたらあいつら、蘭夢に酷いこと言ったから」
「なんて言った?」
「あの淫乱に嫌われるとか、こんな所で彼氏さんは浮気してるとか、言ってて...俺許せなかった。俺を貶すのはそれは別にどうでも良いけど、蘭夢の事になるとどうしても制御が効かなくなってて、もう殺す勢い...つーか殺すつもりで殴ってた」
俺のために、なんでそこまでするんだ
この話をしたがらなったのは、俺に気を使っていたから...?
クソな父親がちゃんと手下の尻拭いをしなかったばかりに快がこんな目にあってしまった
もうあいつはいないと分かっていても、俺の中ではずっとあの不気味な笑顔をして居座ってるようだった
「俺ね...まだ蘭夢に言っていなかったことがあって、ビックリしないで聞いてくれる?」
「別に...いいよ」
「ありがとう。実は俺のお父さん、酒を飲むと誰構わず暴力を振るう人なんだ。だから酒は絶対に飲みたくないって思ってたのに、まさかあんな事がきっかけで飲むことになるなんてね...あの工場から家についた時、俺さ...酒を飲まされたの忘れるぐらい必死に走ってたから、ちゃんとした判断が出来なかった...こんな状態で蘭夢に会っちゃいけないって思ってたんだけど、何でだろ...蘭夢を抱きしめてた」
いや、あれは抱きしめて無いだろ!
だって明らかに酔いつぶれた人がただ俺にもたれかかってただけ!
こいつは抱きしめるともたれかかるを履き違えてる
「そっから記憶がない。あ、でも...リビングに充満するあの美味しそうな匂いは寿司だった。気づいた時にはもう蘭夢を刺してた...壊れた俺の中で“快”って聞こえたんだよ…何度もね。蘭夢、痛かったよね、それでも壊れた俺を直してくれてありがとう」
ちゃんとした快に戻ってくれてありがとう
話してくれてありがとう
帰ってきてくれてありがとう
俺の為に命張ってくれてありがとう
沢山のありがとうを言わなきゃいけないのに、口に出来ない
この話を切り出すにあたって、俺自身がこうなったことを責めるとおもったから快は言わないつもりだった事もこの話を聞いてやっと分かった
でも結局は不甲斐ない親子関係のせいで快に傷がついた
いつになったらあの人は俺の中でも外でも消えてくれるのだろう
「らーん?大丈夫?聞いてて気分わるくしちゃった?」
「あ...いや大丈夫平気」
「俺から頼みがあるんだけど聞いてくれる?」
珍しい、快から頼み事なんて
「いいよ」
「俺が記憶がない間、蘭夢にしたことを正直に俺に話してほしい」
「言ってもいいけど、自分を後から責めるなよ」
快は うん と首を縦に振ってまた俺を見た
「そのー快が言うには抱きしめた?状態でリビングに連れて行って、水を飲ませたよ。その時さ香水と酒の匂いはかなり酷くてぶっ飛ばしてやろうって思うくらいね。んで、突き飛ばされてコップ投げられて、殴られた。何度も叫んだけど快は俺を殴って包丁を持ってきて、俺に馬乗りになって刺した。壊れた快を元に戻す方法を考えた俺は、快に手を添えて一緒に俺を刺した。そしたら快は涙を流してた。はい終わり」
俺ながらこんなに早くも話を簡潔にまとめられるとはね
快はさっきよりも1段と暗い表情になった
ほらね、そうなるから言いたくなかったんだよ...ってこの考えって快と一緒じゃないか
お互い自分のことで相手が傷つくのが怖くて、結局自分を責める
そんなんじゃ言いたい事も怖くてなにも伝わらない
だから直接話すが、結局自分を責める
これじゃただの無限ループじゃん!
「おい、責めんなって言ったろ!何そんな刺したくらいで落ち込んでんだよ」
「刺したくらいって...このまま一緒にいたら蘭夢を殺してしまうんじゃないか...」
いやいやまて
監禁して、学校辞めされられて、この家に居ろって言った本人がこんな調子じゃ俺、どうやって生きていくんだよ
「そんな事言うなら好きとか、守るとか、中途半端にしてほざくな。アホ」
閉じ込めておくくらい好きなら最後まで責任もてよ
「でも、蘭夢が死んじゃったら?」
「あのな~今まで貴方に沢山の暴力を振るわれてきたんだよ?今更簡単に死なねぇーって」
「う"っ...確かにそうだけども...はぁ」
「ずっと一緒にいようって言ったのは快だ。しっかりしろ」
言っている事はきつい言葉ばかりだけど、ヘナチョコ快を見ていられない
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
93 / 136