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97 サービスと子犬は紙一重
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「はい、あーん」
俺は今、最悪な事をされています
こいつはこんな事を目当てに俺を怪我人にしたのでしょうか
とても悔しくて、挫けそうです
あの後リビングに行くと既に田中さんが朝食の準備をしてくれていて、快はこっちこっちと手招きをして隣に座らされた
いつもだと快と向き合うように座るのだが今回は違うようだ
俺も箸を手にしようとした時、痛みのあまり掴む事が出来なかった
そんな俺を見た快はさっきのようにあーんをしてくる
「嫌だ!俺は自分で食べる!」
快が箸にご飯を挟み、何度も俺の口に運ぶがそんなの絶対嫌だ!
「もぉ、往生際が悪いんだから〜」
「はぁ?!そもそもお前が...!......」
お前のせいだろ!っと口が滑っても言ってはいけない言葉を発しそうになってしまった
やっと快が立ち直って来たというのに...俺って奴は
心配になり横目で見ると快はショボーンとなってしまった
「あ、あ!こ、これ美味そ!」
そう言ってオカズに指を指しても快の気分はガタ落ちに見える
それと裏腹にとてつもなく腹が減る
もう、ここはちゃんと正直に...
「あ、あの。あーんしてください...」
深く俯きながら快にそう言った途端、隣で花が開花したのように感じる
「はい、今日は沢山素直で俺嬉しいっ。じゃお口開けて〜」
朝から何度、同じめにあっているんだ俺は
落ち込んでいたのもきっと嘘だな
分かっていながらも口を開けてしまう俺はもっと馬鹿
久々のご飯はとても美味しくて、悔しかったです
それにしても今日は何をしようか…
外にはどうせ出れないし
「快ー今日は何するの?」
ソファの上で寛ぐ快は何だか幸せそう
「え?今日はどんなプレイをするの?って言った?」
「死ね」
こいつの頭の中を見てみたいよ
どうなったらこんな子に育ったのか...想像がつかない
「あれ、そう言えばリビングでご飯食べれるようになったじゃん」
「あ、本当だ。俺も成長したのかな〜」
「してないね」
テレビを付けるがちっとも面白くない
する事ない
やる事ない
「外でていい?」
「怪我人は寝てなさい」
何、この人勝手に母性に目覚めてるんだ?
こんな時ばかり、寝てなさいって...
「怪我人にケツ掘る人にそんな言われたくないね」
「う"っ」
あー外に出たいなぁー
やっぱり勝手に出たら怒るよね?
でも今すぐ外に出たいという欲が半端ない
「ねぇやっぱり外に出ようよ。天気いいし。敷地内だったらいいでしょ」
「んー敷地内だったいいかな。じゃ気分転換にでも出ようか」
珍しく外出する許可を得られ、気持ちが高ぶる!
久々履く靴は変な感じで気持ち悪い
快の住む家は敷地内がとても広いからのひのびと出来る
しかも環境もまるで別世界で、吹く風がとても気持ちい
「快!見て見て!花が咲いてるよ!」
「もう春だからね!たまには外でゆっくりするのも悪く無いね」
「だろだろ!!」
今は偏見とか気にしないでとにかく騒ぐ
すると俺達がいた庭から少し遠くの辺りから動物の鳴き声が聞こえた
「ねぇ俺ちょっと気になるから見てきていい?」
「蘭夢を一人にできないから俺も行くよ」
俺達は声が聞こえた方へ小走りで走っていった
履きなれない靴が踵を擦り、痛みが走る
聞こえた所まで見に来るとグレー色の子犬が迷い込んでいた
「あ...可愛い...何これ、めっちゃ可愛い」
「蘭夢...おーい!何犬相手にデレデレしてるの!?」
俺は動物好きな上、こんなにも綺麗なグレー色の犬は珍しい!だからついつい感情入りしてしまった
「この犬、拾ってあげないの?」
「ダメだよ。うちにはゲンキもいるし、しかもこの犬、やけに毛並みが良すぎるよ!きっと捨てられてない。迷い────」
「だってここに箱あったし、“拾ってください”って書いてあるよ」
犬がいた生えきった草を退かすと、まだ綺麗な箱の状態でペットシートと空の餌箱が置いてあった
それにしても何ていう瞳だろう
目は青色だし、毛並みフサフサだし、耳は垂れてて、グレー色だ
とにかく可愛い物凄く可愛い
その犬を抱っこすると俺の頬舐めてくる
本当に可愛いすぎる
「おい犬。蘭夢にキスしていいのは俺だけだぞ」
眉間にシワを寄せて犬に顔を近づける快
「おい快。子犬相手になんつーこといってんだ」
快は特に何も言い返さず、俺と犬が戯れる姿をただ見ていた
俺も快に構わず犬を抱き抱え家に向かった
「え?!ねぇ!蘭夢っ?!それ飼うの?!」
快がいう“それ”とはこの子犬のことだ
なんでそんなに犬がダメなんだ?
でももう飼うって決めたんだ
「もちろんだろ」
俺はそう一言いって家の中に入った
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