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99 快-----side
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お互い暇だった今日は外で遊ぶことになったが、最悪な邪魔者が現れた
邪魔者とはあの子犬のことだ
しかも、蘭夢はその邪魔者を気に入り飼うことになってしまった
気安く、蘭夢にキスなんてしやがって
俺ですら断られる事があるのにそれを難なくこなす姿も腹が立つ
俺はこんな邪魔者を飼うのは反対なのに、蘭夢は邪魔者ばかり見て俺の話には適当に流される
俺はさっき出会った邪魔者より価値の低い存在だったのだろうか
挙句の果てに、質問した内容まで軽くあしらわれた
邪魔者とじゃれあう2人を見ていたら、俺といた時と楽しそうで声もかけられずにいると、ゲンキが俺の足にスリスリと甘えてきた
「お前も寂しいのか...」
蘭夢には聞こえないよう静かな声でゲンキそう呟く
「快ーレダのご飯買いに行こうよ」
「もう田中が買ってきた」
機嫌がいい蘭夢はあまり見せない笑顔を俺に向けてそう誘われたのだが、蘭夢が飼うと決めた途端からすぐ田中に餌を買うよう言っておいたため俺達が行く必要はない
俺はだらしなくソファにもたれかかり適当に蘭夢にそう言った
もう態度は完璧怒りモード
だけど蘭夢は鈍感だからそんなこと気にもしないだろう
と、思っていたら蘭夢は田中の手伝いをすると言い出した
全てが有り得なかった
だって手伝いなんてやらない人だったし、俺が適当に対応をしたら田中の元へ行くなんて...
俺はお払い箱?
ただそう思った
俺はもう必要とされていない
さっきまで我慢していた悲しさがこみ上げて、俺は無となった
何だか魂が抜けたかのように全てがつまらない
これじゃ俺達はただの同居人じゃないか
蘭夢が自室へ向う時ですら邪魔者が後ろに尻尾を振りながらいる
いつもならそこは俺の定位置なのに
蘭夢はその邪魔者に名前をレダと付けた見たいだが、俺はちっとも嬉しくない
俺がもしそいつの名前を付けるとしたら“go to hell”とでも名付けてやったのに
「レダ君に嫉妬ですか?快様」
「あぁ?そうかもね。あの邪魔者、俺の全てを奪った」
「奪っただなんて...快様は何もお気づきになられてないのですね」
「何のこと?」
「まぁ、この話は置いといて蘭夢様をお呼びになって下さい。ご飯ですよ」
何を知っているんだ?田中は
もやもやする気持ちもあるが蘭夢の部屋の前まで向うが何だか喋れる気がなく、固定電話の横にあったメモ帳にただ“ご飯”とだけ書いてゲンキに蘭夢の部屋へ行くよう指示した
食事も食べさせることなく蘭夢は慣れない手つきでホークを握り食していた
結局、喧嘩をした日となり嫌われた日でもあった
いつもは蘭夢のベッドで寝ているのだが今日は自分の部屋
蘭夢の事だからちょっと俺が機嫌を損ねていても、あえて声をかけない子だからなぜ怒っているかなど
質問されない
明日から少し蘭夢の様子を伺いながら接しよう
冷たいベッドに一人寂しく寝ようとした時だった
勝手に部屋のドアが開く音がして、怖くなりただひたすら布団に身を潜める
すると足音が俺の前で止まった
「まだ起きてる?」
その声は紛れもない蘭夢のものだ
素直になれない蘭夢が急に何をするのか気になり狸寝入りをする
「寝てるよな...あの...ごめんね」
何だよごめんねって
謝られたら俺が惨めになるじゃん
犬なんかに嫉妬してそこから蘭夢のした行動に苛立ちを覚え、距離を置くという選択をしてしまった
俺がどれだけ子供なのか身に染みる
「俺がわがままいってレダを飼ったからだよね...でも、レダ以上に好きなのは...かい...、だけだから」
何がお払い箱だよ
考えすぎていた俺は本当に馬鹿だ
蘭夢が会話を進める度に蘭夢に謝らせるはめになった状況は俺のせいだ
「それにさ、レダって名前を付けた理由は快に意味があるんだ。快は『快い』って漢字じゃん、快いの英語はreadily(レェダァリィ)って読むんだけど、そのレとダをとってレダにしたんだ。まぁこんな単純な名前は頭のいい快なら分かっていたかもしれないけどね」
どこまで可愛くていい子なんだろう
全然こんな俺、快くないじゃん
犬にまで俺から取った名前だったとは流石に気づかなかった
でも蘭夢がどれだけ俺が好きか、俺がどれだけ蘭夢が好きか再び気付かされたようだ
「どうせ起きてるんだろ?寒いから...い、っしょに寝てくれない?」
嫌われてもいなければ仲直り出来る1日となるなんて...
「蘭夢...俺こそごめん。俺あのじゃま...っレダに嫉妬して冷たい態度取ったりして」
「これで仲直りだな。ということで〜一緒に寝ろよ」
直接会話を交わせば口調がきつくなり、命令形にもなるがこれが蘭夢なんだ
蘭夢の腕を引っ張り、強引にベッドにあげて冷たいより温かくなり安心感がとても湧いた
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