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100 伝わらない
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俺と快は仲直りをしたが、未だに快とレダは睨み合いをしていた
「おいぃ!レダ!お前俺の蘭夢にそれ以上近づいたらどうなるかわかっているんだろうな?!」
と、言っても睨んでいるのは快だけ
しかも、レダに言葉がきつい
それでも負けじとレダは俺に触れるくらい近くにいる
明らかに快は犬ごときに遊ばれていた
「やめろってお前ら。うるさいんだよ」
俺が苛立っているのは、こいつらが原因じゃない
肩の傷口から膿が出ていて、流血しているため痛みが酷い
きっと傷口を何かの拍子に痛めつけてしまったせいだ
一応消毒はしたが一向に効き目がなくひたすら痛みに耐えるしかない
「蘭夢、どうした?眉間にシワ寄せて」
「あ、いや別に」
肩が痛いっていったら快はまた落ち込んでしまうかもしれないから痛いとに言っていない
ちょっとした事でも心配するような奴だし、迷惑は掛けたくない
田中さんに見てもらおうとしたがまた実家に帰省中
帰ってくるのはまだ分からないらしくて、傷口は酷くなる一方だ
「らーん?お風呂入ろ〜」
やっぱり誘ってきた
こんな時に限って...
「今日は1人で入る」
いつもなら一緒に入れるものだと思っていたようだが今日だけは絶対に風呂には入れない
先に入っていいと言っても快は駄々をこねている
「じゃ俺が先に入るから入ってくんなよ」
そう念を押してすぐ風呂場へ向かった
慣れない手つきで服を脱ぎ包帯に巻かれた肩を見るとやはり殺菌作用のあるテープからも血が漏れていて、包帯に血が滲んでいた
この包帯が見つかってしまったら快にこっ酷く叱られるか、心配されて一生一緒に風呂に入ることになってしまうかのどちらかだ
だから包帯はゴミ箱へ奥深くに捨てた
湯船に浸かり、この怪我をどう隠そうか迷う
実を言うともう傷口に貼れるテープは一枚もない
そんな考え事をしていると脱衣場から人の影が見えた
田中さんはいないんだし、快しかいない
すぐ、傷に手を軽く乗せ脱衣所とは反対側を向いた
「おい!快入ってくるなって言っただろ!お前来んなよ!!」
「何でいいじゃ.....何これ」
その声はやっぱり快で、語尾を言い終わる前に独り言の様に何か言っていた
俺っ?!もしかして傷口のテープをゴミ箱に捨てるのをわすれたのか?!
自分のした事も忘れるくらい慌て始め、心臓がうるさい
それでも快は俺がいる浴室のドアの前までせまって来ていた
ドアの開く音がやけに大きく聞こえ、快の声が耳元で聞こえた
きっと快の顔はもう既に俺の顔の横にいる
「これ何?」
快の手には血が薄ら付いている
大丈夫だ、まだバレていない
血痕だけではどこからの出血なんて快にわかりっこない
俺は冷静を装い、
「生理じゃね?」
と、ふざけた答えをする
未だに隣にある快の顔を見ることなく会話を進める
「男が生理な分けないでしょ、どこからか血が出ているんだろ?蘭夢」
「どこかってどこだよ」
「例えば...ここ?」
そう言って快が指を指すのは俺が傷口を押さえている肩だ
「へ?んなわけないだろ」
「いや?よく自分の肩を見たら?」
目線を右腕に移したら、もう指先まで血が滴っていた
その血はもちろん肩から流れる血だ
「はい〜お仕置き決定ね」
「は?!何それ?!そんな決まりねぇだろ!」
「うん、そうだよ。今決めたからね」
お仕置きだの躾なんてただひたすら痛いだけじゃないか
そんなことを今までされてきていい思い出なんて一つもない
快は傷口を見せろといい、手を離すと表情を変えずに俺を見ていた
「酷い...なんでこんなになるまでほっといたの」
口調はどんどん酷くなるばかり
心配をかけたくないと言うことから隠していたがその判断は間違っていたのだろうか
「俺じゃ駄目なの?俺には何もできないの?」
「...」
何て言ったらいいのか分からない
結局俺の判断は間違っていた
何をしてもダメだな俺は
「俺達、一緒に暮らしているんだよ?もう気を使うほどの中じゃないじゃん。なのにどうして、こうなるまで自分の中だけで悩んでるの?」
「ごめん」
隠し事をして申し訳ないと思った
でもこれ以上快の苦しむ顔は2度と見たくなかった
ただそれだけなのにどうして伝わらないんだろ
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