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木漏れ日が屋根に映って穏やかな春の朝。俺は履歴書を片手に、木材で作られている洒落たドアを押した。看板はcloseになっているけど、鍵が開いていることはここに来る前から知っている。
カランコロン、と鈴の音が鳴って俺の来店を歓迎してくれた。入ってすぐに店内には目に見えない優しく穏やかな雰囲気を感じる。それは、木で家具や机、椅子などが統一されているからだろうか。
「お、来たか」
「こんにちは~」
キッチンらしき場所から顔をのぞかせたのは、先日電話をかけた時に対応してくれた声と同じ人で間違いないだろう。さっぱりとした黒髪の短髪に少し日焼けしてるのか、地黒なのか判断のつかない肌。整った顔立ち。
イタリアンカフェのオーナー兼シェフだというから、もっと優しく穏やかな人かと思ったら全然違った。居酒屋の厨房に立っている方が似合うような男前だ。
「ちょっとそこのテーブルの椅子に座って待っててくれ」
「は~い」
そうして指さされた椅子に座り、履歴書を机の上に置いた。待っている間、店内を観察してみる。一体誰が考えたのか、初めて入ったとは思えないほど落ち着く内装だ。まさか、あのオーナーが考えたんだろうか。いや、人は見かけによらなかったりする。
そんな失礼なことを考えていると、いかにもシェフだと分かる格好をした彼が目の前の椅子に座った。どかり、そんな音が聞こえてきそうな座り方だ。
「待たせたな。俺はここのカフェのオーナーでシェフの狐塚遼哉(コヅカリョウヤ)だ。お前が面接を受けたいって電話してきた…」
「白波瀬凪(シラハセナギ)です~。よろしくお願いしま~す」
「…随分ゆるい話し方をするな、お前」
「これが通常運転なのですみませんねぇ」
へらっといつもの笑顔で答えると狐塚さんの眉間に皺が寄る。男前で仏頂面だからか、迫力があってちょっと怖い。本当にイタリアンなんて作れるのかこの人。
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