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12時にもなれば続々と訪れるお客さんに、初日ながらパタパタと俺は走り回った。こんなに忙しいなんて聞いてない。どうやって今まで1人で回してたんだ。超人か。
「凪!これは3番さん。レモンが好きなお客さんだから一切れつけてやってくれ」
「了解で~す」
「5番さんのドリンクはちょっと濃いめな」
「は~い」
常連客が多いのか、それにしてもお客さんの好みを1人1人覚えてるなんてすごい。オムライスのケチャップライスを炒めてるときの真剣な表情もちらっと見えたけれど、腕の筋肉すごい。くそ、男なのに色白で華奢な俺とは大違いで悔しい。
身長も高く180は確実にあるだろう狐塚さんは、やはり女性客に大変人気らしい。16時で閉店するまでに来たお客さんの9割が女性だった。しかも半分以上は常連っぽい。
俺も顔は中性的だと思うけど、そこそこ女性受けは良さそうだった。名前聞かれたり、お話したり。まぁ、初めてのバイトだから物珍しかったんだろうけど。
「ふぅ~今日もまぁまぁ忙しかったな」
「狐塚さ~ん、こんなに忙しいなら最初から言ってくださいよ~!心の準備も出来ずに初日からバタバタで俺ちょっと泣きそうになりましたも~ん」
「あぁ?そんなこと言ったら明日はもっとだぞ。日曜日なんだからな」
「えぇ!?嘘でしょ~。今までよく1人でやってこれてましたねぇ…」
「たまに弟を助っ人に呼んでたからな。その弟が高校にあがったもんだから、土日は別のバイトをするって言って来れなくなったんだよ。そのための新しいバイト君だ」
「…中学生に働かせてたんだ~」
「身内だからいいんだよ」
狐塚さんの弟…こんな俺様にこき使われて大変だっただろうな。なぜか世の中、弟や妹は兄や姉の言うことには逆らってはいけない、みたいな風潮が流れてるらしいし。いや、俺は自称一人っ子だから知らないけど。
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