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戸締りをして、2階に上がる。毎回律儀にお邪魔しま~すと言いながらリビングに行く凪の後に続く。今日は明太子クリームパスタでも作ってやろう。
「凪、明太子は大丈夫か」
「大好きで~す」
「んじゃ、ちょっと待ってろ」
「は~い」
素直に返事をしてソファに座った凪の後ろにさりげなく立ち、凪の髪に顔を近づけ、ちゅっとリップ音をたててすぐに離れた。バッと勢いよく振り返り俺を見上げる凪の顔は、裸を見られた思春期の女子高生のように真っ赤だ。くそ可愛い。
「なっ、何したんですか今~!」
「髪にキス。お前、いい匂いすっけど、何のシャンプー使ってんの?」
「シャンプーなんかどうでもいい!も~意味分かんない~」
「ははっ、本当に可愛いなお前。モテそうな顔のくせに初心とかますます苛めたくなる」
「…っ!!」
声にならない威嚇をする凪に、今日2度目の笑顔が自然とこぼれる。なんだ、このお坊ちゃまは俺の笑顔製造機なのか。こいつといたら俺は自然と笑えるのか。26年生きてきて、まだ自分の知らないことがあったとは驚きだ。
ソファにあったクッションをぎゅっと抱きしめ、顔をそこに押し付ける凪の頭をもう一度くしゃりと撫でて、パスタを作るためにキッチンに入った。
キッチンからはリビングが丸見えで、料理をする俺の目の前にはソファで未だにクッションと仲良くしている凪の姿がよく見える。そんなにあのクッションが気に入ったのか。昨日までは全然見向きもしてなかったくせに。俺より仲良くなってるってどういうことだこら。
あまり面白くなくて思わず凪の腕の中にいるクッションを睨みつける。クッション相手に何をしてるんだとツッコんでくれる人は誰もいない。
「ほら出来たぞ。クッションこっちに寄越せ」
「…ありがと~ございま~す」
さっさとパスタを作り終え、ソファの前のテーブルに2つの皿を置く。L字型ソファだから凪の目の前にはテレビ。俺はキッチンに背を向ける形で座った。渋々といった感じでクッションを手放して、俺を睨んでいるつもりなのだろう凪もくそ可愛い。
しかしそれもあまり長くは続かず、目の前の俺が作ったパスタに目元をほころばせた。現金なやつ。なんだろ、自分の作ったパスタに負けた気分だ。
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