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上里さんは俺の言葉に黙り込み、俺もなんて言っていいのか分からずに口を閉じる。笑えない漫才を聞くのに似た居心地の悪さだ。分かった諦めるよ、の一言を俺は待ってるのに何も言わなければ立ち去ろうともしない上里さん。そんなに俺の連絡先が欲しいのか。河原の石ころよりも価値のないものなのに。
「…上里さ、」
「何してるんですか」
あまりにも苦痛に感じる時間に耐えられなくて、上里さんの名前を呼んだ俺の声に被さるようにして落ちてきた低くて重い声。その声の持ち主が誰かなんて、振り向かなくても分かる。
「うちの従業員に何か失礼でもありましたか」
「あっ…いえ!全然!いつも凪くんの接客は素晴らしいしオーナーの料理も本当に美味しいですありがとうございます!では俺はこれで失礼します!」
これまたノンブレスで言い切った後、チーターもびっくりする早さで上里さんは立ち去って行った。おい、俺の気まずくて耐えた時間を返せ。そんなに早く帰れたならもっと早く帰ってくれたらよかったじゃないか。そう、せめてこの人が出てくる前に。
「…何ナンパされてんだよ」
「はい~?ナンパって、俺、男ですよ~?」
「思いっきり連絡先聞かれてたじゃねーか」
「え、どこから聞いてたんですか!?」
「やっぱり聞かれてたんだな」
「なっ、はめられた~」
「凪、上に行くぞ。今日こそは逃がさねぇ」
「うわっ!ちょっ、」
悪鬼のような形相かと思えば、強引に腕を引っ張られてそのまま2階へと続く階段を上らされる。もう二度と2階には足を踏み入れないと決めたのに!この俺様ジャイアン!背中から怒りをビシビシと感じます!すっごい怖い!
靴を適当に脱ぎ散らかし、そのままソファにボスンッと放り投げられた。ちきしょう、柔らかくてフカフカのソファだから全然痛くなくて文句が言えない!
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