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一気にまくし立てるように言い切り、いつもの仏頂面で俺を見上げる狐塚さんを睨む。そんな資格ないって分かっているのに、心と行動が伴わなかった。
「はぁ…」
しばらくお互い黙っていた中、先に肺の底からついたようなため息を零したのは狐塚さんだった。啖呵を切っておきながら、ビクッとしてしまう自分に嫌気がさす。
呆れられただろうか。嫌いになっただろうか。別れ話…とか、このままされるんだろうか。狐塚さんのためを思ったら喜んで別れ話を受け入れる。嘘だ、受け入れるけど喜べない。泣く。
「本っ当に……これだからお前は恋愛の勉強は赤点なんだよ、凪」
「…だったら、その恋愛の勉強とやらを狐塚さんが俺に教えてくださいよ~」
「お前自分で何言ってるか分かってんのか?どれだけ俺が我慢してきたと思ってんだくそガキ」
「が、我慢なんてしなくて…」
「するに決まってんだろ。まだお前から一番欲しい言葉をもらってねーんだからな」
「え?」
俺から一番欲しい言葉?なんだそれ、その言葉を言えば狐塚さんは俺に触れてくれるのか。本当の意味で、恋人になれるのか。
「最初に自分がなんて言って、俺の告白を受け入れたか言ってみろ」
「え、と…後悔すると思います的な~?」
「違ぇーよ。言っただろ、凪。好きな人がいるって」
「……あ」
「そんで、俺は忘れさせてやるって言った。体だけ先に求めたって、心は忘れられない。だからお前の心が俺に追いつくまで…お前が俺に好きって言うまで、手は出さねーって決めてたんだよ」
そう早口で言った狐塚さんの顔には、薄く張った氷のように恥じらいがほんのりと浮かぶ。唇を尖らせてうつむき加減に視線を逸らされると、胸がきゅうっと音を立てたような気がした。
「なぁ、そんなに俺に触られたかったのかよ。深いキス、されたかったのかよ」
「…うぅ~」
「こっち来いよ、凪」
艶気を含んだ低い声が、俺の名前を呼ぶ。布団に胡坐をかいて座った狐塚さんが俺に向かって手を伸ばした。迷わずその手を取って、狐塚さんの足の間に向かい合って座る。至近距離で見る狐塚さんの顔が、恥ずかしくて見れなかった。
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