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「もーうるさいうるさいうるさーい!」
「あっ!みっちゃん待ちなさい!」
僕を呼ぶお母さんの声を振り切るようにして、家を勢いよく飛び出した。風も絶えた夏の夜の中を駆け抜ける。初めての経験にワクワクしながらも、疲れて足を止めると重く蒸した暑さが服に垂れ込んだ。
「はぁ…はぁ…っ」
大きく肩を揺らして息を整える。帰宅部で運動が苦手な僕には少し走っただけで息が苦しい。夏の夜の暑さも重なって、汗が額から落ちた。
夏休みの今、帰宅部の僕はバイトばかりしている。高校の課題にも未だに手を付けていなかった。そんなところに、いつも僕を甘やかしてきたお母さんが、心配そうに言ってきたのだ。
『バイトするのはいいけど、宿題はきちんとやってるの?夏休みに入ってから、バイトと遊んでるだけで勉強してるところ、見てないわよ』
今までそんなこと言われたことはなかった。僕はいつだってお母さんとお父さんの言うことを聞くイエスマン。中学生の頃は勉強が楽しかったし、いつもテストでは上位だったからたくさん褒められた。
でも高校という、人数も中学の3倍に増えたところでは僕の成績順位は下の中くらい。ちょっと中学で成績が良かったからと言って偏差値の高い高校を選んでしまったのが失敗だった。
周りに後れを取り始めて焦りが出ると、勉強を楽しいと思っていた気持ちは消え去り、それは苦痛に変わった。お父さんとお母さんも口ではあまり言わなかったが、明らかに中学の時より心配そうな、不安そうな目で僕を見る。
待ちに待った高校生として初めての夏休み。バイトをしてない時間は遊びたくもなる。朝の10時から夕方の5時までバイトして、近くのショッピングモールでバイト仲間や友達と遊ぶのは快感だった。
そんな僕に見かねたお母さんの一言が、今まで言われなかった分、冷たい楔を心臓に突き刺されたみたいに衝撃だった。
イエスマンだった僕が初めて反抗して、言い争いになったところで僕は思い切って家を飛び出したというわけだ。すごく清々しい。もっと早くこうすればよかった。
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