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何でこんなに緊張しているのか自分でも分からなくて戸惑う。指先にぐっと力を入れて、剛平さんにもしっかり分かるように赤くて明るい星を指さした。
「あぁ…あれはアンタレスだ」
「アンタレス?」
「さそり座の心臓の星。よく見つけたな」
「ちょっと低いところにあるから珍しいなって思って。あれが夏の大三角形だけど、負けないくらい光ってるし気になりました!」
「さそり座は南の低いところにあるから、建物に隠れたりして日本ではなかなか見つけられなかったりするんだ」
「へぇ~!じゃあ見つけられた僕はラッキーですねっ」
「そうだな」
星座のことになると少し早口になる剛平さん。本当に星が好きなんだなぁと伝わってくる。そして見つけづらいらしいアンタレスの星を見つけられたことに、うふふっと笑みが零れた。
剛平さんの声をたくさん聞きたくて、僕は次々と星を指さして名前を聞いていく。あれはあれは?と急かしてしまう僕に嫌な顔一つせず、剛平さんは律儀に一つ一つ名前の由来なども交えて丁寧に教えてくれた。
「すごい!星座って面白いですねっ」
「…そう思ってもらえてよかった」
「流れ星とか流れてくれないかなぁ」
「8月13日に見れると思う。その日はペルセウス座流星群の日だから」
「流星群!?」
よくニュースとかで今日の何時ごろ~とか言っているやつだ。今まであまり興味はなかったけれど、剛平さんの話を聞いているうちに見たいという欲がむくむくと育つ。
「夏の風物詩の一つだ。毎年豊富に出現する」
「うわ~絶対に見たい!ここからでも見えますか?」
「あぁ、見える。街灯から離れて真っ暗のところならより良く見れるだろうな」
「本当ですか!?じゃぁ8月13日、一緒に見ましょう!」
僕は迷うことなく張り切って言った。僕1人で見るよりも、剛平さんが隣にいて一緒に見れたら絶対に感動するだろうなと思ったから。でもそんな僕に、剛平さんは少し眉を下げて困った顔をした。
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