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カリカリカリカリ。カリカリカリカリ。
今日も僕の部屋にはノートに文字を綴る音だけが響く。どんな美しいクラシック音楽よりも、美声を轟かせるオペラよりも、僕にとってはこの音が一番心地いい。
世間は今、夏休みらしい。僕は学校に行ってないからどうでもいいけれど。
朝目覚めたときには、机の上に新しい数学の問題集が置いてあった。きっといつもの家政婦さんの仕業だろう。
でも有難いから早速その問題集を開いてパラパラと捲ってみる。すると、途中で緑色の正方形の形をした付箋が挟まれていた。
なんだこれ?そう思いながら付箋を見ると、そこには『1011』という数字が書かれていた。裏返してみると、後ろには『碓氷陸人・樋山義嗣』と人の名前らしき文字がある。
どこか見覚えのある文字に、米神がズキズキと痛む。くしゃり、と付箋を握りつぶしてすぐにゴミ箱に捨てた。
そして、心を落ち着かせるために無心になって新しい問題集を解き始めた。最高のBGMはこれだけでいい。
カリカリカリカリ。カリカリカリカリ。
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