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兄である遼哉のほうに弟の満輝から会って話したいことがあると連絡があったのは、残暑が遠のき、露骨なほど秋らしい顔が出始めた9月下旬のことだった。
くだらないことで連絡を寄越してくることはよくあることだが、絵文字もない簡素な文面から真面目な話かと遼哉は首をひねる。
少し前に恋愛のことで悩み相談には乗ったが、あれから進展があったかどうかの報告は何もない。何事にも真っ直ぐで一生懸命な満輝と違って、遼哉は冷静で淡白な方なので人の色恋沙汰に自分から首を突っ込むことはない。
とりあえず明日の夜、実家に行くからその時に話を聞くとだけ返事をして遼哉は携帯を手放した。遼哉は遼哉で、己の恋人について最近悩んでいた。
毎週会うにつれて、恋人の表情や雰囲気が愁いを帯びていく。話せば笑うし、キスもセックスもして愛し合っているはずなのに、遼哉は恋人を抱くたびに不安が募っていた。
時折、カフェにある日めくりカレンダーをぼーっと見つめていることがあった。心なしか、その回数は会うたびに増えている気がする。1つ思い浮かぶのは、10月11日が恋人の誕生日だということ。その日を期待しているのかと最初は思ったが、全くそうには見えない。
自室のベッドに横たわり、考えるのはいつも恋人のことだなと遼哉は自嘲の笑みを零した。恋人は、自分と一緒にいないときに自分のことをどのくらい考えてくれているのだろう。恋人の頭の中、すべてを自分で支配したいと願う遼哉だった。
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