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ある日の昼下がりに
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保健室の扉が乱暴に開いて、いつもの顔が不機嫌そうに僕の前までやって来た。
また怪我してやんの。
「今度は誰と喧嘩したんだよ」
「…関係ねぇだろ」
あーあ。
口の端切れてるし。
「関係あるよ。この怪我治療するの誰だと思ってんのさ」
「…」
「ほら、座って」
渋々といった感じで僕の前の椅子に腰掛けると、ブスッとふてくされて目を逸らされた。
「何が原因?」
「別になんもねぇよ」
話しながらも、消毒する場所が痛むのか眉をひそめながら話す様子が面白い。
「喧嘩してる暇があったら勉強とか、恋とかしなよ」
「…」
「そしたらちょっとは変わるんじゃない?喧嘩もしなくなるだろうし。」
そう言って顔を上げると、何故だか真っ直ぐに僕を見つめている。
「?何、っ…!」
ガタッと後ろにあった机に座っていた椅子が当たる。
「っ…んん」
差し込まれた舌で歯列をなぞられ、口内に広がる熱と鉄の香りにぞくりとした。
「っ…はぁ、はぁ」
やっと解放された唇からは上がった息しか出ない。
そんな僕を見下ろして、怪我した口端を上げて笑った顔が、何故だかカッコ良く見えてしまった。
「恋なら、してる」
消毒サンキュ、と言って右手をひらひらと振りながら出て行った彼に、僕はこれからいろんな意味で悩まされることになる。
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