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「爽太はさ、自分がどれだけ人を惹きつけて、どれだけ必要とされてるか分かってないでしょ。
今話してくれた事が世間からしたら確かに普通ではないのかもしれないけど、だからってそれが爽太を嫌いになる理由には小さ過ぎるよ」
潤もしゃがみ込んでまるで子供に言い聞かせるように話した
そしてゆっくりと言葉を選びながら話を続けた
「それに、普通とは違うからってそれが悪になる訳じゃない。
むしろ多くの人が見られない景色や感情を経験できるし、性別に囚われずに愛する事が出来るのって人間の特権だよ」
「…っ、潤…」
潤の言葉はさっきまでの俺の不安を溶かしていくように暖かくて
無性に泣きたくなってしまう
きっと、心のどこかで男を好きになってしまったという普通とは違う事に不安や戸惑い、後ろめたさがあったのだ
「爽太の周りにはいつも人が集まって、明るくて、暖かくて、心地よかった。
昼休みにボール一つ持っただけで駆け足にクラスの皆んなが爽太の所に走って行ってさ…皆んな楽しそうだったし、笑ってた。
それって爽太の人柄が全部良い方向に繋げてるんだよ。
だから、こんなことで一々嫌いになるほど爽太の事を知らない訳がない。
知ってたら、嫌いになんてなれないよ」
ぽん、と背中を軽く叩かれて重くのしかかっていたものが無くなったような気がした
「……歯ー浮くわ。どこのポエマーだよって」
照れたように潤は笑いながら俺の方を見た
その台詞がまた潤らしくて俺も笑ってしまう
「ふは…っ、最後ので台無しなんだけど。
危うく泣かせられる所だった」
そう言ってしゃがんでいた姿勢から立ち上がると、潤も一緒に腰を上げた
「いーじゃんいーじゃん、ほらおいで。」
そう言ってパッと手を大きく広げて満足げに微笑む
それを鼻で笑うと潤は楽しそうに笑った
「ばか。行くわけないだろ」
「さっきまであんなに可愛かったのに随分と生意気だな」
さわさわと髪の毛と頬を撫でる風がくすぐったい
一人だと冷たく感じていた陽も誰かといるとポカポカと温めるものに変わる
「爽太の人間っぽさが見れて安心したわ。
俺は応援してるからな」
「はは、何だよ人間っぽさって」
この間も善さんに同じような事を言われた気がする
人間っぽくて良いとか何だとか
「容姿良し。成績良し。運動良し。性格良しの爽太がロボットじゃなかったって事」
「…何言ってんの?」
そう言えば潤は、呆れたように溜息を吐いてその事を聞くのも面倒だったのでもう何も聞かない事にした
呑気に鼻歌を歌っている潤の隣は安心する
…本人には絶対に言わないけど
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