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「そんでさー、昨日ゆみちゃんがさぁ…」
潤のどうでもいい話を聞き流して、適当に相槌を打ちながら歩く
よくもまぁ途切れもしないでペラペラと話せるなと、もはや感心してしまう
「はいはい、ゆみちゃんね」
潤の口から飛び出す女の子の名前はいつも変わるので、誰が誰だか覚えてられない
けれど潤は一人一人全っ然違うよ、とやや半ギレで俺に向かってそう言った
それから今度は一人一人どこが違うだの、この子はここが凄くてだのまた話題が変わる
「……あ」
目の前に居たのは姿勢がとても綺麗で華奢な体格、後ろからでも分かるオーラの持ち主
「……っ、善さん」
そう声を掛けると少しビクッと体が跳ねたと思えば、何事もなかったようにゆっくりと後ろを振り返った
「爽太君か。びっくりしたぁ」
はは、と乾いた笑いを零しているけれど何だかいつもと雰囲気が違う
見た目は冷たいように見えても喋り出すと独特の暖かい雰囲気を醸し出す善さんだったけれど、今日はすごく冷めたように感じる
「…すげ、俺間近で初めて見た……」
いつも綺麗な女の子と近くで接している潤でさえ、この反応を見せる善さんは只者ではない
「すみません…最近見かけなかったから、つい」
そう言うとそうだね、久しぶりに見た。と言ってから持っていた荷物を持ち直す
離れた距離を近づけずに話す事に違和感を抱く
「じゃあ、爽太君…またね。隣のお友達も」
直ぐに離れようとする善さんにやっぱり避けられている、と分かってしまった
それが悔しくて、切なくて
善さんの方へと足を進めて片腕を掴む
この行動はほとんど無意識だった。
「ん?どうし…」
「俺のこと、どうして避けるんですか」
そう聞けばいつも合うはずの視線は一度も合わせてくれない
俯いたままごめん、とだけ呟いた
「…俺は、寂しいです。せっかく仲良くなれたと思ってたのにまた遠ざかって行って。
何か嫌だったことがあったら直すから…だから、このまま避けるのだけは止めてください」
そう言うと善さんは、ようやく視線を俺の方へと向けた
それは酷く冷めきっていて背筋が凍ってしまいそうなほど、弱々しかった
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