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「爽太、平気か?」
その日の午後はまたバイトがあったので、それまでの時間きっと潤が気を使ってくれて一緒に遊ばないかと誘われた
「うん。…けど、なかなか応える」
善さんにあんな風に拒絶されたのは初めてだった
俺の何がいけなかったのだろうか
善さんは君は何も悪くない、と言ったけれどそれなら避ける理由にならないはずだし
「まぁなー…一色さんってドライなのな」
悪く言うという感じではなく、思ったままの感想を潤はボソッと呟いた
確かにあれが初対面の人ならば誰しもが冷たいと感じるかもしれない
「いや、普段はもっと優しい。あんな善さん初めて見た」
「…じゃあ今は無理でもちゃんと話した方がいいんじゃねぇの?」
潤の方を見ると真剣な眼差しを向けられていた
その頬に夕日が少しかかっていてオレンジが縁取る
「うん…そうだよな」
「そーそー。普段があんな感じじゃないんなら、何か理由があんだろ。
それに一色さんは爽太は悪くないって言ってたけど、嘘をついているようには見えなかったし、というか本当に嫌だったら爽太のせいとでも言うんじゃないの」
確かに…潤の言う通りだった
本当に俺の事を避けたかったら、俺の事が嫌いとでも何だって言うはずだ。
でも優しい善さんなら、俺が嫌いだとしてもそんな事を言わないのははずだとも思ったが
それならあんな風に長々と話す必要はないはずだ
「それに、あの人が言ってた大事なものは要らないってのが気になるな。後、その時の顔も」
潤の観察力の高さに驚く
俺は間近で見ていたから覚えているし、対象としていたからそれは当然のことだけれど
言ってしまえば潤は無関係だ。
それなのにこんなに考えて、一緒に悩んでくれる
今日は何度も潤の存在に救われてきた
「…色々とありがとうな」
さっきまで悩んで眉間に寄ったシワがふっ、と緩んで微笑む
「どういたしまして。…つか、バイトって何時からなの?今日は遅め?」
そう言われて急いで時間を確認する
顔からサーっという言葉が相応しいとでも言うように血の気が引いた
「…やっ、べ……ごめん!もう行かないと」
「ははっ、転ぶなよー」
ゆらゆらと手を振る潤の側を早足で離れて、ドタバタと喫茶店へ向かった
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