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「はぁ…っ、はぁ…っ、…こん、にちは」
全速力で走った結果まさかのいつもより余裕を持って着いてしまった
これはあるある、なのではないか。
時間がないと思って焦るが、意外と早く事が終わってしまうみたいな
「こんにちは…どうしたの、そんなに焦って」
カウンターにいたのはこの間俺の後にシフトを入れていた千紘さんだった
マスターは夜からの出勤みたいだ
「遅れるって…思って…着替えてきます」
「はは…っ、そういう事か。行ってらっしゃい」
幸いお客さんはまだ入っていなく、千紘さんがグラスを拭いているところだった
千紘さんは黒髪のマッシュで、片方の耳に黒いピアスをしている。
笑顔が爽やかで、一番印象的なのは笑うとえくぼができるところだ
「…はー…あっつ」
もう夏も迫ってきているところで全速力ダッシュをした後はとても暑かった
休憩室にはクーラーが効いていたので熱された体を冷やすように空調の近くで着替えをする事にした
***
「…お客さん、全然こないね」
「そうですね」
俺はバイトを始めて以来初めてこんなにガラガラの日に当たった
ちらほら一人や二人はくるものの直ぐに帰ってしまうのでほとんどやる事はなかった
「爽太君って善と前から仲よかったの?」
善さんが呼び捨てにされてるのを初めて聞いて少し不思議な感覚がする
千紘さんは俺の二つ上、つまり善さんの一個上だ
「たまたま女の先輩に絡まれてたのを助けてくれてそこから…って感じです。
あ、俺の事呼び捨てで全然大丈夫ですよ」
思えばあれが最初の出会いだなんて少し変わってる
善さんも人に興味なさそうなのに、というか絶対に興味がないのに優し過ぎるから助けてくれたのだ
人に興味がないというのはきっと、善さん自身にも興味関心がないからだと思う
「じゃあ爽太、でいいかな?その話、なんか善らしいね」
善らしい、という千紘さんはどのくらい彼のことを知っているのだろうか
あんな冷たい部分も見てきたのだろうか
「善があんな風に笑うの珍しいんだよ」
「…そう、ですか?」
そんなことを言われたら良い方向に捉えてしまいそうになる
「実は、俺善と幼馴染なんだよね」
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