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俺はあの日、嬉しさのあまり寝られないなどという自分でも引くほどの乙女っぷりを発揮してしまった
そう思っても好きな人から期待してもいいなど言われて冷静でいられる訳がなかった
しかも、それがもう叶わないだろう、と諦めていた相手で
「はー…やばいな」
最近はバイトもそこそこ、勉強もそこそこの日々を送り、善さんとも前より近い距離で関係を築くことが出来ていた
「爽太〜、棚の物とってくれない?」
そう声をかけたのは俺の母親だった。
今日は一人暮らしを始めてから始めて実家に帰っていて、リビングでだらだらと過ごしていた。
名前は柳楽美里で、大きな瞳と栗色の猫っ毛が特徴的だ
若い頃は相当モテていたらしく父さんの一目惚れがキッカケで交際が始まったらしい
そして父さんも父さんで、切れ長の瞳で笑うとやや目尻が下がり、無表情の時と笑う顔のギャップが凄く
女の子に声を掛けられてばかりだったと言う
話を聞く限りだと、二人ともあり得ないくらいに異性に好意を寄せられて居て、それなのに互いに結ばれるまでになんと交際した数は0人。
漫画みたいな話で小さい時は俺もこんな風になりたいと思っていた
「どれ?この鍋敷きでいいの?」
「そう!爽太が居てくれて助かるわ〜」
ふふっ、と柔らかく微笑む母さんは女性らしくて普通に綺麗だと思う
息子の俺が思うくらいだから父さんからしたら相当なのだろう
「俺んちって季節関係なく鍋食べるよね」
「そうねぇ〜、あれ、嫌だった?」
そう言って少し悲しそうな顔をする母さんを見ると、優しくしなければと思わせられる
「いや、嫌とかじゃなくてただ思っただけ。
それに鍋うまいからいつ食べたって良いよ」
「…爽太は本当、父さんによく似たわぁ」
嬉しそうに笑いながら料理の支度を始める
母さんと父さんは所謂おしどり夫婦だ。
小さい時から喧嘩をしているのを見た事がなく、今でも結婚記念日は二人でどこかに出かけたりと、とても仲がいい
「ははっ、でた、また父さんネタ」
母さんは事あるごとに父さんによく似てるわぁ、と言い出す。
それを嫌だなんて思った事はもちろんないけれど、自分では似ているとは思わなかった
でも友達にも親戚にもそう言われるから、きっとそうなのだろう
「爽太〜最近ニコニコして、何か良いことがあったんでしょう」
なんて鋭い
いや、分かりやすいのか、俺が。
「好きな子でも出来たとか」
「ぶ…っ」
鋭すぎる。
口に含んでいた麦茶を思わず吹き出しそうになった
「分かりやすいわねぇ。そんなんじゃ直ぐその子に気付かれるわよ」
いや、もう気付かれてます。
というより暴露しました、俺から
「まさか、もう告白したの?」
……勘弁してください
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