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母の質問攻めが鋭く、恐怖を感じたため料理を手伝って話をそらすことにした
母親はどうしてこんなにも子に対して鋭いのだろうか
やっぱり同じ血を受け継いでるから?
いや、それにしても怖い、怖すぎる。
「お、なんだ。二人で台所に立って」
低い声でそう俺たちに声を掛けたのは父さんだった
帰りはいつも6時くらいで普通のサラリーマンにしては早い方だろう
そのおかげで家族3人で過ごす時間は長く、親の愛情を嫌というほど貰ってきた
「秘密よねぇ〜?」
含みを持たせる言い方に、ひーっ!と声にならない声を発しそうになる
父さんにまで知られたら面倒だ
二人掛かりで質問攻めに合うに決まってる
「いや、ほんと何でもないよ。
ただ気が向いたから手伝ってるだけ」
「…そうか」
納得してないような顔で、でも深く聞かれる事は無かった
父さんはいつも無愛想というくらい無表情の事が多く、笑顔を見られるのは稀だ
小さい時はそれが怖くてややぐずりながら母さんに言ったら、それを母さんが父さんに伝えて
父さんはそんな俺に向かって下手くそな笑顔を見せてくれた
それ以来、父さんの無表情を怖いと思った事は無かった
俺はこんな風に暖かい家庭に生まれて、育って、恵まれていると自分でも思う
善さんは、どんな家庭で育ってきたのだろうか
愛情を知らない、その言葉が離れない
だって想像がつかないから
「母さんはさ、もし周りで愛情を知らないっていう人がいたらどうする?」
そう聞くと、驚いたようにしながらもそうねぇと考え始めた
「知らないって言えないくらい沢山愛すかしら。
…ふふっ、爽太もそうしたのね」
何も話していないのに何でも見透かされてしまう
俺がそうした事も、そしてそれが好意を寄せてる相手だって事も
「…何が一番良いのかなって思って」
母さんは穏やかに微笑みながらコンロに火をつけた
重そうに鍋を持つものだから、俺が代わって鍋を持ち上げると嬉しそうに笑う
「爽太はそのままで、無理に自分を作り変えようとしないでいいのよ。
きっと、その子も貴方の良さを分かってくれているはずだから」
だって、母さんの自慢の息子だものと言って頭をくしゃくしゃと撫でられる
たまにこうして子供扱いされるのはくすぐったい気持ちになる
「うん…ありがとう」
ちらっと父さんを盗み見ると、とても穏やかに笑っていた
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