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季節が過ぎるのは早いもので、日差しが暖かいだの言っていた時が懐かしく感じてしまう
今はもうその日差しを避けるように過ごす暑い夏の始まりだ
「暑いですね…」
「あはは、汗かいても爽やかだね」
俺は今、善さんといつもの樹の下にいる所だ
善さんは初夏だというのに相変わらず長袖で、それでも暑苦しく見えないのはさっぱりとした顔立ちだからなのか青白い顔だからなのか
「でも今日は流石に中に入ろっか」
そう言って汗一つ流していない善さんは立ち上がって俺の方を見た
本当に、気遣いの絶えない人だ
「中入るの嫌じゃないんですか?」
しまった、今の聞き方だと善さんのことだから嫌じゃないよと答えるに決まってる
急いで訂正しようと口を開けば善さんの方が先に声を発した
「うん。一人じゃないしね」
そう言って歩き出してしまった善さんの後を追うことしかできなかった
着いた先は後者の一階のホールで、まばらに人がいるけれど沢山群がっているわけではなかった
善さんが来るとざわつき始め、視線が集中する
そんな事を気にした様子もなくストン、と床に腰を下ろすと何故だかまた立ち上がった
「ちょっと待っててね」
「あ、はい…」
善さんが何処かへ行ってしまったため、俺は一人でホールの床に腰を下ろして待つことにした
すると前の方から女性3人組が近づいてきて俺の隣に腰を下ろした
スカートを気にしながらそうする姿に若干の鬱陶しさを覚える
「ねぇねぇ、君一年生?」
「はい、そうです」
派手だな、と思うと同時にこれから起こることがなんとなく予想できてしまう
「やっぱり!見たことないと思ったぁ〜。
君カッコいいね、モテるでしょ?」
…面倒な流れになってしまったこの類の女性は苦手だ。
早く善さん戻ってこないかな…
「ははっ、そんな事ないですよ」
「えー?その返しがもうモテそう〜」
じゃあなんて返したら良かったんだ、と思ってしまう
こちらからは相槌をしているだけで聞き返して会話を続けようとしていないという事に気がついてほしい
「あ、善君と仲良いよね?どうやってあんな仲良くなったの?」
また、そんな事ないですよと答えようとしたら後ろからトンッと肩に手が置かれる
そして頬には冷たい飲み物が当てられた
「つっめた…」
「あはは、びっくりしてる」
クスクスと笑う姿に拍子抜けしていると、それは女の人達も同じだったようだ
あまりにも自然とその場に溶け込むような空気感
それでいて、他の人とは明らかに違う雰囲気を纏って目を惹く
「善君〜学校で会うの久しぶりじゃない?」
「え?そうだったっけ?」
善さんがおどけたようにそう言うと、女の人も楽しそうに笑った
それから善さんはまたその場の人を驚かせる行動をする
「…っえ?」
するっと手を自然と握られ、そのまま手を引いて立ち上がらした
当の本人は周りの反応を楽しそうに見ては笑った
「あははっ、みんな固まってるし。
紗英、彩乃、結衣…また今度ね」
さり気なくその場にいた全員の名前を呼んで、さり気なく俺とその場を後にした
まるで魔法にかけられたように女の人は静止画になり、それから頬を赤らめた
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