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中を見て驚いて途中の廊下で固まってしまった
カーテンは全て閉まっていて、部屋にはペットボトルが2本転がり、ベットの下には洋服が脱ぎ捨ててある
そこら辺に物が転がっていて、けれど物が少ないからなのか散らかっているという印象は薄い
「ごめんねぇ、汚くて」
「いや…それは全然平気ですけど…」
一人暮らしの男子大学生はこんな感じだろう
けれど外で会う善さんはきっちりしている人でそういう人が、こういう家に住んでいるのは予想していなかったから驚きが大きかったのだ
「とりあえず、ベットに横になってください。
熱は測りました?」
「…測ってない、けどそんなにないんじゃないかなぁ」
適当すぎて呆れ笑いが思わず溢れるほどだ
これほど自分に無関心だとは
「はぁ…体温計、どこですか?」
「…ごめん、無いんだ」
そんな事だろうと思った
ただ今の様子から見ると恐らく39度くらいだろう
「…キッチン、借りても大丈夫ですか?」
「良いけど材料も無いよ…」
千紘さんの食料補充しておいて、と言った理由がやっと分かった
というか分かってしまった
「大丈夫です。買って来たんで」
善さんは今度は目を閉じて辛さそうに息をついた後、何でもなかったようにまた笑った
「何作ってくれるの?楽しみ」
辛いくせに、そんな気を使う姿にこっちが頭痛をを感じてしまうくらいだ
善さんはそれがもう普通になってしまたのか俺が何も言わないのを不思議に思ったのか俺をじっ、と見つめた
「熱高いんだから寝ててください」
そう言ってお粥でも作ろうかと買って来た袋をガサゴソとあさってると背中に軽い衝撃と温もりが広がった
「何で…冷たくするの」
その声は少し泣きそうな声で急いで振り向くと案の定、潤んだ目があった
熱が高いと何故だか寂しく感じたり、情緒が不安になることがあったから善さんもきっとそんな感じなんだろう
「すみません…冷たくした訳じゃないんです」
ぎゅ、と抱き締めると善さんは何も言わないまま熱い吐息を溢す
…具合が悪い人を不安にさせて、神経乱して何してんだよ、俺は
「うん…ごめん、一人だったから寂しくて」
その台詞に千紘さんの言葉が頭で再生される
“一人にしちゃ駄目”
散らかった室内、食料はなし、服もそのまま
一人にしたら本当にこの人は死んでしまう
「大丈夫ですよ、俺はここに居ますから」
そう思ってしまった。
「ほら、ベットで待っててください。
寂しいんなら布団だけこっちに持って来ますか?」
「うん…そうしたい」
という訳で、ベットからマットと掛け布団を取り出してリビングに置くというなんとも不思議な光景が広がった
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