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友人
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「…という訳で、付き合う事になった、んだけど」
「……は?誰が、誰と?」
大学内の食堂で話を切り出した。
善さんの具合は良くなって、あれから普通に学校やバイトに通っている
俺は、胃が痛くなるほどの緊張感の中、友達の潤にこの間のことを告げている
「…俺が、善さん、と」
一度カミングアウトしたとは言え、やはり誰かに打ち明けるのは緊張する
それが男女の仲なら問題ないのだろうが同性となると違ってくる
「良かったじゃん!どっちから?」
何でもないように笑ってから、意外な質問をする
潤は俺が気にしていた問題を問題として見ていなかったようで、そんな態度に安心する
「…善さんがそういう事言うのって想像出来なくない?」
「え、そう?なんか『俺、爽太君のこと大好きなんだけど知ってた?』とかサラッと言いそうじゃん」
その潤の言葉に確かに、と頷いた
そんな台詞が明日にも聞こえてきそうで思わず笑ってしまう
「で…ヤッた?」
「っ、馬鹿。ここ食堂だっつの」
ストレートすぎるそれに、頭を軽く小突くとケラケラと笑ってごめんごめんと悪気もなさそうに謝った
「そんで?どーなの?」
「…してないよ」
そう言うと潤は有り得ねー!と呆れたように、信じられないと言うように目を丸くした
年中やってるお前と一緒にするな、とつい心の声が漏れてしまいそうになる
「年中はしてねぇよ」
「あ、漏れてた」
第一、付き合ったばっかで出来るわけないだろ。
…っつか、いつかは多分、するんだよな
そうなると俺と善さんどっちが受け入れる方なのだろうか
それは潤も同じタイミングで思っていたようで、考えるように手を組んだ
「…んー、まぁ女役は普通に考えて一色さんだろうね。」
「俺もそう思う」
もし俺と善さんが逆だったらもう地獄絵図過ぎて見ていられない
善さんは顔も綺麗だし体の線も細い、どことなく女の人のようなしなやかさや品があって
……って、俺こんなん考えて変態かよ
「もう止めよう、この話」
「分かった分かった。…でもさ、ちゃんと調べた方がいいと思うよ?男同士だとやり方だって違うはずだし。それに突っ込まれる方って女の子でも痛いって言うくらいだから、受け入れるように造られてない身体なんてもっと大変なんだからな」
急に真剣さを増した声色で言う潤の台詞に、俺も静かに頷いた
俺はこんな事を考えたりしているけれど善さんも考えていたりしてくれてるのだろうか
想いが通じ合うと、一方通行の時よりも不安や心配事が増える
でもそれよりも、もっとずっと幸せだ
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