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「……って事があったんですけど、善さんって相当勉強できますよね?」
話し相手は善さんをよく知る千紘さんで、その場には翔も居た。
夏休みに入ったばかりだと言うのに、翔の小麦色の肌は更に焼けている
そして今は3人で休憩を取っていて、表にいるのは善さんとマスターの2人だ。
「そうそう。しかも、なんなくこなすからね。
よく分からないところがあるから教えて欲しいってくるんだけど一回解説するだけで納得するから、本当に怖いよね」
その話を聞く限り、千紘さんもなかなかの頭脳の持ち主で
本当に怖い、と言うけれど俺からしたら2人一緒に恐ろしい。
「へー、俺全然できないから今度教えてほしい。
…っつかみんなで遊びたーい。俺と千紘さんと、爽太と善さんで。ねー!遊びたーいー」
駄々をこねるように言う翔に千紘さんと顔を見合わせて笑う
こういう時に素直、と言うか甘え上手、というか
皆んなから愛されるタイプだよな、とつくづく感じる
「ふは、お前はかわいーね」
千紘さんはクスクスと笑ってから、翔の頭を小突いた
翔は肩をすくめて少し恥ずかしそうに笑う
「じゃ、どっか行く?せっかくの長期休みだし」
「よっしゃ!行く!行きたい!」
そう言って喜ぶ翔の頭を撫でる千紘さんは見ていて微笑ましい
「あー、待って待って。善にも聞かないと」
喜ぶ翔を落ち着かせるように、静かな声色で言った。
けれど、その表情は穏やかできっと善さんは了承してくれると予想できた
なんとなく時計に目を向けると休憩時間の入れ替わりだった
次は善さんが休憩に入って千紘さんはあと15分引き続き入る
マスターはもう一時間後に取るらしい。
飲食店のオーナーはつくづく大変だな、と思う
俺と翔は千紘さんよりも15分前に入っていたので、2人で先に仕事に出ることになっている
「休憩いただきまーす」
緩い挨拶と共に休憩室に入ってきたのは善さんだった
それに一番最初に目を向けたのは翔だ。
「えっと、翔君…どうかした?」
「はい!どこか行きませんか!」
言葉が足らなさすぎるそれに、千紘さんが軽く頭を小突いて直ぐに付け足す
「ばか。それじゃあ間違って伝わるでしょ。
…さっき皆んなで長期休みだしこの4人で何処か行かないかって話してたんだけど、善はどう?」
呆れたように、だけど優しく笑って善さんに向かう
「あはは、そういう事か。うん、行きたい」
その言葉に翔は嬉しそうに顔を綻ばせて、それを見て善さんもまた笑った
「じゃ、そういう事で。また今度話そっか」
千紘さんがみんなにそう呼びかけてこの話は一旦終わりになったので、俺は翔の肩をトン、と叩いて仕事に戻ろうと呼びかける
「「休憩ありがとうございました」」
「あ、はーい」
「頑張ってね」
善さん、千紘さんの順で俺たちの言葉に返答をした
そしてドアに出る前に善さんが目線で俺を捉えた
何だ、と思ってそのまま見つめ返していると途端、片方の瞳が閉じられる
所謂ウインクというやつだ
それも、丁度いいタイミングを見計らったのか俺しか見ていない状態でだ。
「…っ!」
練習していないはずのそれは、あまりにも綺麗に閉じるもんだから何でもできる人はやはり何でもできてしまうんだと思うと同時に
どうしようもない胸の高鳴りを押さえつけるのに必死だった
「爽太君、休憩時間過ぎちゃうよ」
そうさせた本人がケロッと言う
あれを素で、違和感もなく出来てしまう善さんはやっぱり恐ろしい人だ
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