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「爽太君、おはよう。」
朝から気怠そうな色気を含んだ声色で、玄関の外に立っている人物はもちろん
「善さんその色気閉まってください」
「あはは、何言ってるの」
いつも長袖だった格好は白いTシャツに変わり、ズボンは黒のテーパードパンツ
靴は3ホールシューズというシンプルなのにとてもお洒落に見える格好だった
「あれ、千紘さんは?」
今日は前々から計画していた海に行く日だった
俺、千紘さん、善さんは家が近くてっきり一緒に駅まで行くものだと思っていたのに
「翔君が起きてるか分からないから、千紘は翔君の家に寄ってから駅に来るみたいだよ」
「……あぁ」
翔はうっかり、というか少し抜けているところがある。
それはバイト中でも感じることがあったので善さんからの説明に納得してしまった
「じゃあ、行こっか。」
「はい」
***
「あ…ICカード忘れた」
「もー、何やってんの善は」
無事、千紘さんと翔と合流出来たものの善さんが忘れ物をしてしまったらしい
さっき翔のことを抜けていると思ったばかりだったが、善さんも少しそういうところがあるのを忘れていた
「ごめんね、切符買ってくる」
「あー待って。俺も行きます」
善さんをこんな人混みに一人にしたら何か起きそうで怖い
それは、善さんと歩いていると感じる視線のせいだ。
それが女の人からのものならまだしも男の人から向けられているから、また電車内で間違いが起きてしまうんじゃないかと不安になる
券売機に着くと善さんは、お札を入れる場所をICカードを入れる場所へ間違えて投入しそうになる
それを慌てて手で防ぐ
「いやいやいや、そこ違いますって。こっちです」
「え?あぁ、本当だぁ」
本当だぁって…
相変わらずのんびりとした口調や性格は変わらないようでこんな時でも本人よりも俺が焦っている
お金を入れたと思ったら、今度はどうしたらいいか分からないと言うように手の動きが止まる
「…切符ってどうやって買うの?」
「…もう俺がやりますから横にいてください」
こんなんでよく生活が成り立っていたな、と思う
これは以前善さんが寝込んだ時にも思った事だ
「ありがとう。一人じゃ買えなかったよ」
「はい。本当に」
切符を無事に買い終えて、改札を通る
ホームには夏休みの午前中ということもあって人で溢れかえっていた
それに不安一杯の顔をしたのは善さん以外の3人全員だった
当の本人はけろっとしていて、むしろその3人の反応を不思議そうに見ていた
「え?何、どうしたの?」
善さんのその言葉に3人で溜息を吐く
そして顔を見合わせてしっかりと頷き合う
「善さん、電車に乗ったら直ぐ真ん中の方に行きますからね」
「え?あ、うん」
「はぐれないようにね、善」
「そうですよ。なんなら俺に捕まってください」
3人で善さんにそう声を掛けると本人は、子供じゃないんだからと笑っている
…そういう事じゃなくて、と言いそうになるが心の内に留めておく
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