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「落ち着いて。爽太。
多分そう遠くには行ってないはずだよ」
千紘さんに背中をトントン、と叩かれてどうにか落ち着きを取り戻す
けれど千紘さんも相当動揺しているようで髪をぐしゃ、と握る
「とりあえず手分けして探そう。
まだ何かに巻き込まれたとは限らないし、それならそうなる前に見つけないと」
「…っ、うん」
翔の言葉に3人で走り出した
人が多いこの中じゃ善さんだけを探し出すのはなかなか難しい
でも、一刻も早く見つけ出さないと
翔はああ言ってくれたけど何かに巻き込まれたんじゃないんなら何なんだよ
何で居なくなんだよ
「善さんっ!…善さんー!」
人目も気にせずに大声でその名前を呼ぶ
だけど、その返事はどこからも返ってこない
「っくそ…」
「あの…」
控えめにかけられた声に振り返れば女性3人が心配そうな視線を俺に向けて居た
「すみません、今忙し…」
「善さんって言う人…多分さっき見ました」
驚くその発言にどう言う事?と聞けば、女性の一人が口を開いた
「最初に見たのが、その、善さんって言う人とあなた達がご飯を買う時でそれでかっこいいねって話してたんです。その時にあなたたちが善さんって呼んでたから珍しい名前だし、綺麗だったから覚えてたんです。
また会えたら良いな、と思ってたら具合が悪そうな感じで男の人に体を支えられてて…」
「それ、どこで見た?」
良くも悪くも、人の目を惹きつけてしまう
それは分かっていたはずだった
「多分、あっちの方に行きました」
「教えてくれてありがとう」
その女の子たちに大事が起こっているとは思って欲しくなくて、そう微笑みながら言った
女の子たちが指差した方向へ、それはだんだんと人気が少なくなっていった。
嫌な予感を感じながらも走る速度は勝手にどんどん早くなって行く
そのせいか心臓はドクドクと早足で脈を打ち出して、頭は真っ白になった
「善さんー!…はぁっ、善さ…」
「やべっ、お前、どーすんだよ」
「うるっせえな。静かにしろ」
俺の声に二人の男の不審気な声が聞こえる
一歩、もう一歩とその声の方に足を進めると背中にだらだらと汗が伝う
「…………っ、ぜ、…んさん」
砂にまみれ、裸で押さえつけられている善さん
「……っ、そ、うた…」
真っ暗な瞳からは涙が次から次へと流れ落ちる
そしてもう後ろに入りかけているソレを目にした瞬間、感じたことのない憤りに震えた
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