アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
賑やかな
-
海での事件からまだ2日しか経っていない今日はあのメンバーでまた集まることになっていた
きっと、千紘さんも翔も心配なんだろう。
あれから顔を一度も見せてないし下手をすれば事件になってもおかしくない事を大事な友達がされたのに
冷静で居られた方がおかしい話だ。
「爽太君の家ってどの辺だっけ?」
「えっ、と…千紘さんと来るって言ってませんでした?」
今は善さんと電話をしていて、今日のことについて話しているところだった。
今日集まる場所は俺の家で、それは翔以外の3人か近いという事と一人暮らしという事で決まったのだった。
……翔には申し訳ないけど。
「え?あ…そうだった、忘れてた」
「ははっ、しっかりしてくださいよ」
こうしてたまに忘れっぽいところが、善さんは多々あった。
電話越しに静かに笑う声が聞こえて胸が高鳴った
「んー、と…じゃあ、またね」
「はい…また」
電話はいつも切るときに、どちらとも少し寂しそうに声を小さくする
善さんも端切れが悪そうに俺に伝えた
だから、どちらともなく息を合わせて電話を切る
「はー………まだかな」
部屋で一人ベットに横になり、何をするわけでもないが携帯を弄る
玄関のチャイムが鳴ったと思ったら朝から近所迷惑と言えるほど大きな声で俺を呼ぶ声がした
『爽太ー、俺!』
隣人から苦情が来ないうちに玄関のドアを開けると翔がやけにキラキラとした笑顔で立っていた
「おはよ」
「うわ、何だそれ。爽やかだな」
ドアを開けただけでなんだよ、それ。
もう意味が分からないので無視をすると後ろからしつこいくらい名前を呼ばれ続けるので仕方がなく反応をする
「千紘さんとかはまだ来てないの?」
「うん。もう少しで来るんじゃない?
あ、飲み物麦茶しかないけどいい?」
ジュースでも買っておけば良かった。
こういう時に一人暮らしだとつい、忘れてしまう
というかただ単に俺が気を回せないだけなのかもしるないけど
「いーよ、ありがとう。ね……善さん大丈夫そう?」
聞いていいのか迷ったのだろう、少し間が開いた後にそう言葉が続けられた
麦茶をよそって翔の前に置いてから苦笑いを向ける
「大丈夫って言えば大丈夫だし、大丈夫じゃないって言えば大丈夫じゃない」
善さんは明るく振舞ってるけど時々すごく辛そうにする。
近くに寄ったり、顔を近づけたりすると一瞬体が強張って、俺だと認識すると安心したように息を吐く
そんな事がこの間は続いていた。
それにまだ2日しか経っていないし、つけられた傷は癒えてないだろう
「そっかぁ………」
少し視線を落として、翔が辛そうに顔を歪めた
こんな表情を見るのは初めてで、どれだけ善さんのことを大切に思っているかが分かった。
「まっ、俺らがくよくよしてもしょうがねーよな。今日は善さんにたっくさん笑ってもらおーぜ」
「ふは…っ、翔っていつもそうだよな」
明るくて、周りまで照らすような存在。
俺もよく明るいと言われる方だけど、翔みたいに周りの空気を全て変えてしまうようなそんな人は未だ会った事がない
「爽太も、一人で色々しようとすんなよ。
俺も千紘さんも居るんだから。
善さんは優しすぎるから、きっと爽太に対して申し訳ないって気持ちが少なからずあると思う。
だから爽太も周りに頼れよ?自分のためにも、善さんのためにも」
いつになく真剣な声色に、じわ、と視界が少し滲んで下を向く
すると翔の手が俺の頭をポンポンと軽く叩いて、慰めるような手の動きだった
「……ありがとう」
「おう!」
流石に泣きはしなかったけど翔の暖かく、優しい手に鼻の奥が少しだけつん、とした
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
85 / 138