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「えっと…君は……」
善さんは潤を見るなりそう尋ねて、潤はハッとしたように口を開いた
「あっ、俺は爽太の友達の桐島潤です」
焦ったように言う潤が珍しくて、思わず笑うと善さんはホッと安堵したように息をついた
「俺は一色善って言います。呼び方は何でも好きなように呼んでほしいかな」
「……じゃあ、一色さんで」
俺の顔色を伺いつつそう言う潤
別に、中学生じゃないんだから名前くらいで嫉妬なんてしねーよ。そう思ったけれど苗字呼びで良いに越した事はないので何も言わなかった
「あの女の人、知り合いなんですか?」
潤はそう善さんに聞くと、善さんは首を横に振った
まぁ…そんな事だろうと思ったけど
「じゃあなんで庇ったんですか」
やっぱり潤も気が付いていたようだった。
俺は、なんとなく理由が分かってしまう
でもきっと善さんは……
「えー?庇ってないよ。第一俺にそんな勇気ないしね。ほら、ひょろひょろだし」
クスクスと笑いながらそう言って、はぐらかすように話を変える
善さんならそう言うと思った。
自分の犠牲は顧みず、相手のことを第一に優先する。そんな人だからだ
「あはは、君たちおんなじような顔をするね。
……ってさせてるのは俺か」
どこまでも優しいこの人は相手の気持ちに敏感だ
潤も優しいから、善さんの嘘に気が付いていてそれでも貫き通す善さんにやるせないのだろう
「とりあえず、医務室行きましょう」
「えー?この位なら慣れてるし大丈夫だよ」
何でもないように慣れてる、そう言う善さんが痛々しい
それは以前聞いた話を思い出したからだった。
「一色さん、行きましょう?
俺もっと貴方と話してみたいんですけど」
潤がさっきの悔しそうな表情は消し去り、微笑みながら善さんにそう言った
そうすれば、きっと断れないからだ。
「うん、分かった。ありがとう」
善さんもまた、それに気が付いている
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