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アイドルなんてやめちゃいたい
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学校早退。
マネージャーの車でスタジオへ。
今日の撮影は、そっか。俺一人だ。
今度出させてもらうドラマのインタビュー。
なんか、すげー人気の俳優さんが主役で俺は準主役。
どんな話だっけ。
全然覚えてねえや。興味ないし。
ていうかなんで俺アイドルなんてやってるんだっけ。
「あーあ、アイドルなんてやめちゃいたい」
駐車場に停めてくるから先に入ってろ。
とビルの入口で降ろされた。
俺の前にそびえる大きすぎるビルに思わず溜息と一緒に漏れる本音。
「あーJOKERのカズくんだー!」
「あ、ホントだ!実物まじかわいい〜」
「てか小さいね〜」
ビルを入ってあらかじめ聞いていたスタジオ目指して歩いてれば耳に入ってくる甲高い声。
うっせーな。自分はかわいいじゃねーし、てか身長の話はすんじゃねえよ。
あーあ。怒る気にはならなくて無視して足をすすめる。
なんて退屈な日々なんだろう。
「お疲れ様です。よろしくお願いします」
指定されていたスタジオの扉を開けてかたちだけの挨拶をする。
わりと何度も仕事してるスタッフさん達だったから気は楽。
だったんだけど。
知らない男がひとりいる。
さっきからじっとこっち見てくるしなんだよ、感じ悪い。
と思っていたらカツカツと足音を立ててこっちに近づいてくる。
え、なに?
「君が青山和翔くん?」
「…そうっすけど?」
柔らかな茶髪はちょうど目に掛かりそうなくらいの長さ。だけどワックスで柔らかくセットしているからかちっとも重くなさそうに見える。その下は均衡のとれた顔立ち。俗に言うイケメンというものか。仕事柄か、キャッチコピーを付けるとしたら王子様。
警戒心バリバリに返事をしたのが伝わったのか困ったような笑顔になった。
「俺、杉浦純。今度のドラマで共演させてもらうんだ。挨拶がてら撮影見に来たんだけど迷惑だったかな」
ああ、この人がマネージャーが言ってた売れっ子俳優さんか。
今回のドラマ、言っちゃえば俺はこの人の知名度に乗っかるようなもんだし、愛想は良くしておいたほうがいいかもしれない。
「杉浦さん、ですね。よろしくお願いします。別に撮影見てっても、なんもないですよ?」
「よろしくね。俺が見たいだけだから、気にしないで?」
「青山くーん、そろそろ着替えとメイクよろしくー」
にっこり。善意しかありません。とでもいうような笑顔と言葉。
遮るように聞こえたスタッフさんの声に安心する。
これはまた、苦手なタイプの大人と知り合いになってしまったかも。
これだから芸能界ってめんどくさい。
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