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手を掴んだ俺をフッと鼻で笑い「覚悟は出来ているのか」と問う。
覚悟…ペットになる覚悟。
ヤクザに囚われるということは、もう元の生活には戻れないだろう。
そして例えどんな扱いを受けようとも、文句は言えない。
最終的に殺されるのだとしても。
今の生活と天秤にかけたら、そりゃあ今の生活の方が多少はマシかもしれない。
けれど、どうせ俺は長くは生きない。
「はい」と返事をすると、「お前は今日から俺の犬だ」と告げられる。
「若っ!いくら悪い情報がないにしても、そんな初対面の者を側に置くのは危険です」
先ほどのパソコンを持っていた男がそう言う。
確かに。もし俺がこの男に恨みを持っている確信犯ならば殺すには絶好のチャンスで、この男は絶体絶命だ。
俺にはこの男に恨みもないから、そんな心配はいらないけど。
「もしコイツが俺を殺ろうなどと行動した時は、お前たちに判断は任せる。消すというならそれで構わない。コイツは俺を殺るなどしないだろうがな」
そう仲間に告げた後、今度は俺の方を向く。
「聞こえていただろうが、一応お前にも言っておく。もう俺はお前の主人だ。俺を殺すなど考えないことだ」
ここへ来たときと同じヤクザらしからぬ国産のミニバンへ乗せられ、ついたのはマンション。
若頭と呼ばれた男を筆頭に俺と後ろに3人がエントランスへ入り、エレベーターへと乗り込む。
迷うことなく最上階のボタンが押され、数秒後ドアが開く。
エレベーターを降りたそこにドアは1つだけ。
カードキーと指紋認証で開いたドア。
「入れ」という言葉と後ろからの威圧を感じ、「お邪魔します」と呟いてから靴を脱ぎ足を踏み入れた。
後ろについてきていた3人は挨拶をすると帰っていってしまい、2人になってしまった。
そこでふと凄く大変なことに気が付いた俺。
施設に何の連絡もしていない。
もうすぐ卒業という名の退園だから、自立する為のお金を貯めなければならず、門限は早くはないのだが日付が変わるまでには帰らねばならない。
「あの…っ。少し外へ出ても、いいですか?」
俺がそう聞いた瞬間、鋭い目が俺を睨む。
「なんだ、もう逃げたくなったか?覚悟は出来ているのだろう?」
「いや…連絡を、したくて…」
「どこにだ」
「施設、です。帰れないということを伝えなければいけなくて」
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