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―――
眩しい光を感じ目を覚ますともう朝になっていて、隣には当然藤堂さんの姿はなかった。
それに安堵の息を吐いた。
昨日の今日でどんな顔をしたらいいか分からない。
異性となら愛し合って行う行為。
でも俺たちは同性、ましてや恋愛感情もない主とペット。
ペットで性欲処理してる?
それともペットが言うこと聞かないからその罰?
どちらにせよ俺にとっては屈辱的な行為でしかない。
しかも起き上がろうとして気付いた。腰が酷く重くて痛い。
どうにか腰を手で押さえながらベッドから降り、顔を洗おうとぎこちない足取りになりながらも歩き出す。
寝室の扉を開けリビングへと足を踏み入れた時。
悠然と椅子に座りカップ片手にこちらを見る、居ないと思っていた人物がそこにはいた。
「案外早かったな。痛むか?」
「おはよう、ございます…っ。少しだけ」
「ふっ、まぁその内慣れる。どうやら素質があるようだしな」
素質ってなに?昨日も言われた。
「素質…って…」
「掘られて気持ちよくなれるんだ。それにお前は処女だった。普通は苦痛のみで終わるところを、お前はトコロテンまで、…十分素質がある」
「トコロ、テン?」
「奥を突かれただけで射精することだ」
っ…!!朝っぱらからなんてことをっ…!!
過激な下ネタに言い返す言葉が思いつかずに、ただ顔を赤くするしかない。
でも、そういうこと、なのか…
素質があると言われても嬉しい素質ではないのは確かだけど。
時刻は8時半。
今日は仕事お休みかな?
いつもなら8時にはもう居ないのに。
「今日はお仕事…」
行かないんですか?と聞こうとして言いとどまる。
これじゃあ仕事へ出て行ってほしいみたいじゃないか。完全に邪魔者扱いしていると思われてしまう。
そりゃ居ると居ないじゃ居ない方がいいけれど。
此処の家主は藤堂さんで、本来邪魔者は俺の方。
「今日は日曜だからな」
ヤクザも日曜日は休みなんだ…
てっきり土日の方が活動するんだと思っていた。
じゃあ今日は1日家にいる感じ?
だとしたら、かなり気まずいんだけど。
そんな心配とは裏腹に。
「今日は出掛ける」
良かったぁーと、一息ついたのも束の間で。
「10時に出る。お前も支度しておけよ」
返事だけして逃げるようにして洗面所へと向かう。
なんで俺も?
もしかして俺のことを始末しに行くとか?
そんなわけないよね?いや、ある?
鏡に映る自分は最後の姿かもしれない。
最後くらい楽しい時間を過ごしたかったな。
鏡に映っているのは、ニコリともしない幸せとは程遠い顔。
俺の人生、本当に散々だった。
唯一俺を愛してくれたのは父さんだけで、その父さんもこの世界には居ない。
俺の味方はこの世界にはもう、誰も居ない。
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