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“俺があの人と出会ったのは、まだ10歳の時だった”
コンコン
「章優さーん、朝ですよー!」
俺の名前は木下幸仁(きのした ゆきひと)19歳
大学生でもない、ただの19歳で何の取り柄もない。
中学の頃も高校の時も特に目立たず、学力も普通で悪くもなく良くもなく、部活もしてなかったし運動も普通。
ザ、凡人というあだ名がつくほどの凡人だ。
「ん...。おはよう...、今日もいい天気だね」
「曇ってますけどね」
彼の名前は滝沢章優(たきざわ あきまさ)26歳。
目が見えないので外はあまり出歩かない。それでもよく窓から顔を出して風の匂いを嗅いで、そこから物語を作り出していく。彼の話してくれる話は全て面白い、多分彼は世でいう天才というやつだ。
「朝ごはん出来てますよ、つかまってください」
「いつもありがとう、幸仁」
「俺の自己満ですから、気にしないで下さい!」
こんな時、章優さんの目が見えてなくて良かったと思う
誰でも良いわけではない。章優さんに言われたことだから嬉しいんだ。”ありがとう”と言われただけで顔が真っ赤になってしまう。こんなことバレたら嫌われちゃうかな...。
もちろん尊敬もしてるけど俺のこれは、きっと...。
「ん?どうかしたの?」
「へ?え、いや!別に...」
「俺は目が見えない分、少しの変化にも敏感なんだよ。
だから話してみよ、お兄さんが聞いてあげよう少年!」
そう、章優さんは目が見えないからなのかその他の機能がとても鋭い。料理の隠し味やシャンプー、柔軟剤の変化など少しの事でもすぐに気がつく。
一番びっくりしたのは聴力だ。
ちょっとした物音や足音、電話ですら違う部屋にいても聞こえるらしい。
「えっと...」
「まあ無理に言うことはないよ、人間なんだから隠し事の1つや2つあるものだしね。それに俺なんかに言ったところでだもんね」
「なっ!そんな事ないです!!俺は...ただ...」
「ただ?」
「ありがとう...って、言ってもらえた...と思いまして...」
ありがとうの言葉だけで舞い上がってるって、子供だって思われたかな。どうして何も言ってくれないんだろう。
「あ、あの...なんで黙っt、って...、なんで笑ってるんですか!!」
「だってwww乗せられすぎだろwwしっかり話してくれるとこ本当に好きだよwww」
凄い恥ずかしかったのに!!めちゃめちゃ笑われた?!
うう、しかも乗せられてたんなんて...この人結構意地悪だ!!
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