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18歳以上ですか?
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「今日は曇りか……」
「へ?どうしました?」
「雲というものは本当に意地悪だね」
また章優さんの変な発言が始まった。
よろよろと家具を頼りに、探り探りに窓のところへ進みそして窓に掌を添えて上を見る。
「ただでさえ太陽の光は俺の目には届いてくれないのに、目の見える人達からも太陽の光を奪う雲はとっても意地悪だ」
「雲が意地悪……なるほど」
お皿の洗い物が終わり、俺も窓側に立つ章優さんのところに歩み寄る。
なんだか寂しそうな背中だな。
俺には目が見えないという事が全然分からない。人によって視力の良い悪いは色々あるだろう、それでもぼやけて見えてるだけで目に光はちゃんと届いている。
でも、章優さんの目には終わりのない暗闇が広がっているようにしか見えないんだ。
「章優さん、今度一緒に晴れている時にお出かけしませんか?」
「え~~~」
「運転してあげますから、ちょっと遠くの丘の上でピクニックをしましょう」
ちなみに俺は18歳の時にすでに免許はとっている。俺が通っていた高校は工業的な学校だったので他の学校の人達よりも授業で必要なため早めに取れたのだ。
それに俺はよく知り合いからニートなのかと聞かれるが、確かにニートっぽいのだが章優さんの生活の援助をしているので章優さんのご両親から給料をもらっているので一応無職ではない。
小さい頃から章優さんのご両親とは知り合いで仲も良かったし、それに1番はただ俺が章優さんと一緒にいたいから一緒に住みたいとワガママ言ってしまっただけなので、初めはいらないと言ったのだが、俺は章優さんにつきっきりになって仕事をしないだろうと言われ反論できずに話を進められた。
実はこの家は章優さんの実家の近くにあって、俺の兄貴に頼んで作ってもらった一軒家なんだ。
作る際に兄貴は障害者向けの家にしてくれていて所々に手すりがあったり怪我をしないように角を丸くしてくれている。
俺は一生兄貴に頭が上がらないだろう…。
「ほらつかまって、座りましょ?」
「うん、ありがとう」
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