アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
68-高谷広side
-
*
逃げるように寝室に入り、ドアにもたれかかって頭を押さえる。
「何してんだ……俺……」
いい歳して妬いてしまった自分に嫌気がさす。しかも相手は、付き合ってもいない……付き合ってないどころか、心は俺の生徒だ。嫉妬なんてして良い立場じゃない。
だけど、今日、山田が心に抱きついて頬を合わせてるのを見たら、面白くない気持ちが顔を出して仕方なかった。
これまで何人かと恋人関係を築いてきたが、妬いた経験などなかった。それ故に、それほどまでに心に惚れているんだと自覚させられたようで、戸惑いを隠せない。
「可愛いよなぁ……」
エプロン姿で俺の帰りを嬉しそうに迎えてくれるのも可愛いし、せっせと夕食の準備をしているのも可愛い。
リレーで迷惑かけたらどうしようって心配性なのも可愛いし、美味しいっていったら嬉しそうに顔をほころばせるのも可愛い。
もう、心がする行動全てが可愛くて愛しくて、それ故に変な虫が付きやしないか心配だ。
(……まあ、俺が一番変な虫なんだけどな)
あの夢のことといい、もう取り返しのつかないくらい、心のことを想ってしまっている。
心を見てるとつい触れたくなるんだ。甘い言葉を囁いて、抱きしめて、君が俺にとって一番大切な子なんだと伝えたくなる。
(でも……駄目だ。それは絶対に許されない)
この気持ちを隠さなければ、俺は心と一緒にいることが出来ない。大人でいない限り、俺には心の側にいる資格がない。
俺の気持ちなんかどうでも良い。何よりも、“家族”として自分を慕ってくれる心を裏切りたくない。“家族”として心を幸せにしてやりたい。
教師である俺が心の為に出来ることは、それくらいしかないのだから。
「好きだ……心」
だから、この想いは、決して表に出てはいけない。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
69 / 340