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「俺と……?」
「そうそう!望月の予定に合わせてさ……どう?」
(俺が、友達と、夏休みに遊ぶ……)
自分には馴染みがなかった言葉。中学時代、周りが楽しそうに夏休みの計画をしているのが、俺には関係ないって思いながらも、どこか羨ましかった。
だから、山田君が誘ってくれたことがすごく嬉しくて、俺は思わずはにかんでしまう。
「ありがとう……嬉しい」
嬉しい。友達と──山田君と遊びに行ける。遊びに行って良いんだ。
急に夏休みが楽しみになった単純な自分に内心苦笑しつつ、お礼を述べると、山田君は自分の手を目に当てて天を仰いだ。
「くうっ!かっっっっわいい!!」
「や、山田君……?」
いきなりの行動にびっくりして名前を呼ぶと、今度はガシッと手を握られる。山田君は、暑いからか、ほっぺが赤くなっていた。手も俺よりはるかに熱を持っている。
「マジでいっぱい二人の思い出作ろうぜ!おっ、俺も、覚悟決めっからさ!」
「覚悟?」
「おうっ。だ、だから、待っててな!」
「……?」
(山田君から、場所とか時間とか提案してくれるってことかな……?)
山田君はいつも色々リードしてくれて、本当にありがたい。
俺も手をギュッと握り返して、山田君に笑いかけた。
「うん。楽しみ」
どうしよう。ほっぺの緩みが治らない。
「……っ。あっ、やばい、やばいなんか駄目だこれ」
「山田君?」
「おっ、俺っ、トイレ行ってくる!!」
バッと立ち上がった山田君が、一目散に教室の外へ出って行ってしまい、俺は呆然とその姿を見送った。
(お腹痛くなったのかな?心配だな……)
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