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楽 ②
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真壁に手を引かれるまま付いてきて、連れてこられたのはゲームセンター。
「よし、遊ぶぞ」
真壁が僕の手を離して振り返った。
遊ぶぞっていわれても
「まずは勝負な」
そう言って真壁が指差したのはバスケのシューティングゲーム
『勝てるわけないだろ!!』
「え?ゲームと実践は違うだろ」
『いやいや、バスケ部と一般人じゃ勝負見えてるよ』
「えーじゃあ一回練習する?」
そういうと真壁は機械にお金を入れた。
「早く打てよ」
真壁はなんでやらないの?とばかりに不思議な顔で見てきた。
僕は渋々ボールを手に取る
シュートを放つがボールはやっぱりゴールには入らず空中をきる
「ぶはっヘッタクソ笑」
『しょうがないだろ!!もともと運動できないんだよ』
「教えてやるよ」
真壁が言いながら僕の後ろから手を回した。
手と手が重なる。
「手首は柔らかくして、右手でスナップをきかせる」
こういうことを自然とできるあたりモテる原因なんだろうな。
真壁に手伝ってもらいながら打ったショートは見事ゴールに入った。
『入った!』
思わず声を上げてしまった。
きっとまた馬鹿にされてしまう
「よかったな」
僕の考えとは違い、真壁は微笑んで讃えてくれた。
思わず一瞬ドキッと胸が高鳴ってしまった。
「じゃあ次はあれな!」
真壁のいうがままその後も何個か対戦系のゲームをやった。
エアホッケーやリズムゲーム、シューティングゲームと色々やったが僕が勝てたものは一個もなかった。
「お前ほんとに弱いな」
『う、うるさい』
ゲームとはいえ、散々動き回ったせいで僕はヘトヘトだった。
ふとUFOキャッチャーに目をやると限定チョコ詰め合わせと書かれた景品が置かれていた。
甘いものが大好きな僕はもうそれが欲しくてたまらない。
「なに、あれ欲しいの?」
真壁が僕の視線に気づいたのか、やる気満々になっていた。
『い、いいよ。どーせ取れっこないし』
「そんなのやって見なきゃわかんないだろ」
真壁はゲーム機にお金を入れた。
が、クレーンは景品を掴みさせするものの、なかなか持ち上がらない。
まあUFOキャッチャーなんてそんなものか
「くそ、もう一回」
真壁は失敗してはもう一回を繰り返していた。
確かに限定チョコは欲しいが、そこまで頑張ってもらわなくても
『ねぇ、取れっこないって』
「そうやって諦めんなよ。100回やってダメでも101回目で成功するかもしれないだろ」
真壁は僕に構わず再度ゲーム機にお金を入れた。
そしてとうとうクレーンがチョコの詰め合わせを掴み宙に持ち上げた。
そして見事、真壁は景品を勝ち取った
「だから言ったろ!」
真壁はドヤ顔で景品を僕に差し出した。
何だかんだ言って負けず嫌いなんだな
でも何だか暗い気持ちがどこかに行った気がした。
『ありがとう!』
僕は景品を受けてとり真壁に微笑んだ。
「やっと俺の前で笑った」
『え?』
「お前の泣き顔しか見たことなかったから笑わせたくてさ」
もしかして、いつも気難しい顔をしてる僕を心配して楽しませようとしてくれた?
真壁って意外といい奴なんだな。
「って事でこれからは一緒にサボるか」
『いや、もうサボらないよ』
「えー。じゃあ放課後これから俺と帰ろうよ」
『お前と帰ったら遊びにつれまわされそうだ。受験生だから勉強するよ』
学校に戻りながらも、僕と真壁は笑いながら話していた。
適当で滅多に笑わず気難しい奴だけど、実はいい奴なんだな
と思った。
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