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出会い〜真壁涼矢side〜
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四月。
俺はあの人を探すために必死に勉強して秀英高校に入学した。
周りは俺の更生ぶりに驚いていたが、バスケのためだと納得していた。
正直、俺はバスケが上手い。
小さな頃からやっていたし、いろんな高校から推薦をもらっていた。
それでもそれを蹴ってこの高校に来た。
それなのに、探せど探せどあの人は見つからない。
上級生の教室は流石に入れないが、食堂もほぼ毎日行ってるし、すれ違う上級生の顔は必ず確認する。
ただ、放課後の図書室に行ってもいない。
そうしてる間に入学して2週間、もう部活に入部する時期になってしまった。
よくよく考えたら、あの人があの時3年生だったらもう卒業してしまっている。
そうしたらもうこの学校にいるはずがない。
せっかくここまで来たのに会えないのか。
「涼矢!今日から部活だぜ!早く行こう」
話しかけて来たのは席が前後の尾藤唯
お互いバスケ部志望ということで仲良くなった。
初めは笑わない俺に怖気付いていたが、俺は仲良くなればよく笑う方だ。
今では結構屈託無く話しかけてくれる。
「あー入部テスト落ちたらどうしよう」
「落ちないだろ」
「お前は余裕だよなー」
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案の定、俺は入部テストは一位だった。
周りからは、すごいという賞賛の目と1年にしてレギュラーになるんじゃないかという嫉妬を帯びた期待の視線が注がれた。
「すっげぇ!いいポイントゲッターになりそうだな!」
そう言って話しかけて来たのはキャプテンの3年生。
名前なんだっけ。
ただこいつのプレーは何度か見たことある。
キャプテンに選ばれるだけあって確かにうまい。今こいつと勝負しても勝てないだろう
「先輩ほどじゃないですよ」
そのうち追い抜くけどなと心の中で付け加えて
そっけなく答える
キャプテンがまた何か言おうとした瞬間
「あ!れーおー!!いとしの真琴君がお迎えに来たぞー」
他の三年生がキャプテンのことを呼んだ。
そうだ、確かな礼央、そんな名前だったな。
そう思って声の方向を見ると、
そこにはあの人が立っていた。
3年生と何やら話している。
見つけた。
俺が探していた人。
礼央先輩がその人のところに駆け寄っていく。
礼央先輩に真琴と呼ばれるその人の目はあの時と同じ、どこか切なげで悲しそう。
「もうお前ら付き合えば?」
「何言ってんだよ(笑)真琴は親友であり兄弟みたいなもんなの!!」
礼央先輩がそう言った瞬間、あの人、真琴の瞳が揺れた。
ああ、あの時見ていたのは礼央先輩の事だったんだ。
また手強い奴が相手だな。
俺の失恋から始まった初恋はなかなか険しい道のりだった。
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