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過ち〜真壁涼矢side〜
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次の日、俺は早速三年生の礼央先輩のクラスに行って、真琴を連れ出した。
「あんたさぁ、礼央先輩のこと好きだろ」
そう言い放つと、真琴は始めシラを切っていたが、問い詰めると、涙を流したながら礼央先輩への恋愛感情を認めた。
なんだか複雑な心境だ。
『もう、僕から解放してあげないとね』
そう言いながら真琴は泣きながら笑った。
俺だったらそんな顔させないのに。
そう思ったけれど、ちゃんとした恋愛をしたことない俺はその気持ちの伝え方が分からず、その日は連絡先を渡すので精一杯だった。
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その日の部活終わりの部室。
礼央先輩が明日は歓迎会があるから早く終わるとみんなに言っていた。
バスケ部の部室は広く、1年から3年までみんな入れる。
ただ、なかなか部員が多いので狭いことは狭い。
「おいおい礼央〜そこで告白すればいいんじゃないの?帰り遅いからとか言ってさぁ〜」
礼央先輩に他の三年生がちょっかいを出しているのが聞こえた。
まぁ見てればわかるが礼央先輩はマネージャーの女に特別な感情を抱いてる。
真琴の感情に気づくことなく。
「いやいや、、明日告白してフラれたらシラけるだろ」
「とか言って、チキってるだけだろ〜」
「それなら歓迎会の次の日な!」
「絶対いけるから!」
周りの三年生が礼央先輩に気合いを入れる。
「うるせぇな。フラれても笑うなよ!」
周りに囃し立てられて、礼央先輩の告白が決定した。
正直成功すると思う。
礼央先輩から告白されて断る女なんていない
でも、部活終わりに告白するってことは真琴はその告白に出くわすんじゃないか。
好きな人の告白なんて見たくないだろう。でも、諦めるとも言っていた。
変なお節介は止めるべきだろうか。
考えた結果
礼央先輩が告白するその日に
【今日、バスケ部に迎えに来ない方がいいよ】
とだけ真琴に送った。
真琴は来るだろうか。
まぁ来るよな、正直俺のことなんて信用してないだろうし、いきなりあんな文送っても意味がわからないだろう。
この前の予定通り、礼央先輩はマネージャーの子に告白した。
返事はもちろんOK
真琴はこの光景を見てないだろうか
不安になり辺りを見渡す
「よっしゃーやったなー礼央ー!!!」
三年の先輩が叫ぶ方を見ると
そこには真琴の姿があった。
ただ呆然としていて、目の焦点が合ってなかった。
だから来るなと言ったのに、この場に居合わせれば、いやでも祝福しないといけないぞ
「真琴!」
礼央先輩が真琴のことを呼んだ。
その声に気づいたのか、真琴がハッと我にかえり、祝福される礼央先輩を見つめる
その目は今にも泣きそうで、ああまたこの人は好きな人のことで泣くのか。
そう思った瞬間、体が勝手に動き、真琴の腕を取って走り出していた。
真琴は泣き顔を見せたくなかったのか、俺に腕を引かれるまま素直についてきた。
俺だったら絶対こんな顔させない。
こんなにわかりやすく態度に出しているのに、なんで気づいてやらないんだ。
俺にしとけばいいのに、、、、
真琴も真琴でなんでこんなに辛いなら、離れればいいのに
本当にむかつく
『、、、、はぁ真壁、、、ちょっとストップ』
真琴が俺の手を引っ張って俺を制止した。
これで振り返ったら真琴はまた泣いているんだろうか
俺はイライラが収まらなかった。
真琴が泣かないように、傷つかないように教えてやったのに。
『あの、、』
「今日は来るなって言っただろ!」
俺は真琴に対して声を荒げた。
『い、言われたけど理由も聞かされてないのに』
「礼央先輩が告白するからって?それって来ても来なくても一緒だろ!」
『遅かれ早かれ、耳に入ったよ!今日か、明日かの違いだけ!』
真琴が珍しく言い返してきた。
俺も怒鳴りすぎたと我にかえるが、それでもイライラは収まらない
「お前、礼央先輩のこと諦めるみたいなこと俺に言っといて、好きなこと隠してるみたいな態度とっといて、それでなんだよその様」
つい意地の悪い言い方をしてしまう。
あんな奴のために泣いているのが気にくわない
好きでこんな顔をしているのではないと真琴が俯く。
何やってるんだ俺は、、、
俺は真琴を笑顔にしたかったんじゃないのか。
感情に任して怒鳴り散らすなんて、こいつの思い人ならしないだろう。
真琴が泣かないように、傷つかないように教えてやった
いや違う。
俺自身が、真琴が他の奴を思って泣くのを見たくなかったんだ。
こんな時優しい言葉一つかけてやれない。
今まで腐る程恋愛してきたくせに、本当の恋愛を知らないから、気持ちの伝え方も、こんな時どうすれば良いのかもわからない。
真っ正面から行って、勝てないなら力ずくで奪ってみようか。
「家来る?」
もともと俺は
そのやり方しか知らない。
家に着き、タオルを差し出すと、真琴は現実を受け止めたのか、また涙を流した。
俺に泣き顔を見られたくないのか、頭にタオルを乗せて顔を隠している。
その顔を見たくない。
「、、、、、、、泣くなよ」
真琴の顔を俺の方に向かせる。
力ずくで俺の方を向かせよう
俺はそのまま真琴を抱いた。
気持ちなんて後からついてくる
見かけだけでも俺のものに
今まで散々してきたのに、感じたことのないような気持ち良さに俺は酔いしれた。
何も考えなくて良いように、少しでも真琴が俺の方を向いてくれるように
好きだ
真琴が好きだ
『、、、礼央、、、』
真琴が果てる寸前で1番聞きたくない名前を囁き、そのまま気を失ってしまった。
その声を聞き、俺は理性を取り戻した。
「何してんだ、、、俺」
好きな人を始めて抱いたのに、心にはぽっかり穴が空いたような虚無感に覆われた。
見かけだけ抱いても何も意味がない。
真琴に笑ってほしい。
俺を好きになってほしい
体も
心も
全部俺を見てほしい
俺は眠っている真琴にそっとキスをして
君を絶対笑顔にしよう、気持ちも全て俺の方を向かせよう
そう決心した。
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