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2日目
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文化祭がことなく終わり、今日は昨日よりも盛り上がる体育祭。
三年生は最後の思い出作りで一年で1番盛り上がるのがこの日だ。
僕自身、活躍はできないけど、クラスの仲間を応援するのはとても楽しいし、こう言うお祭り騒ぎはむしろ好きな方だ。
今のところ、僕たちのクラスの成績はいい方だ。
「礼央!絶対1位な、1位以外ありえねぇから!」
これから1500メートル走に向かう礼央に、忠が気合を入れた。
1位って、、、中には陸上部もいるからなぁ、、、
「1位ってな、、、陸上部だっているんだぞ。トップ10に入れればいい方だろ」
礼央は僕と同じ考えの様で興奮している忠を笑いながらあしらっていた。
『でも、礼央は体力あるし、ひょっとしたらがあるかもしれないね』
「真琴が応援してくれたら頑張るけど」
そう言って礼央が僕の肩を組んだ。
友達同士だったら当たり前のこんな行為も、最近の事が重なって妙にドキドキしてしまう。
『ち、近いよ礼央!』
慌てる僕とは裏腹に礼央は笑いながらスタートラインに向かった。
あ、頑張ってって言えなかったな。
と思うと礼央が立ち止まり振り返った
「頑張れって言って?」
普段カッコいい礼央が甘える様に言ってきた。
突然の事に驚くが少しドキッとしてしまった。
『が、頑張って!!!』
そんなお願いされなくても、応援したくてしょうがなかったのに
鏡を見なくてもわかる。
きっと今、僕の顔は赤い、、、、
僕の言葉に礼央は満足そうに笑って出場者の集まりに消えて行った。
前までは礼央は僕にただの幼馴染として接してきていたのに、最近では、、、
「お前ら恋人みたいだな」
礼央を見つめる僕に忠が声をかけた。
『そんな事ないよ!仲が、、、いいだけ、、』
忠の言葉にますます顔を赤くする僕を見ながら忠は笑っていた。
「あ!ほら!礼央スタートしたぞ!」
忠の声に慌てて前を見ると、1500メートル走がスタートしていた。
礼央はなかなか前の方にいる。
もともと体力のある礼央はそのまま上位をキープして、ラストスパートをかけた。
『れおー頑張れー!!!』
僕も忠も声を張り上げて応援する。
結果は、、、、2位。
それでも陸上部が何人かいる中で2位なんてすごいと思う。
「おい!1位取って来いって言ったろ!!」
「馬鹿言うなよ!1位のやつ3000メートルの選手だぞ」
息を切らしながら戻ってきた礼央に忠が文句を言った。
それに負けじと礼央も大声を上げる。
今1500メートル走ったところなのに元気だなぁ
なんて思いながら笑って見ていると
「1位じゃなくてごめん」
礼央が僕に言った。
『え!2位でも十分すごいよ!!!』
「真琴には謝るのになんで俺には謝罪がないんだよ!!!!!」
礼央が僕にだけ謝ったことに忠がまた怒る。
こんな風に3人でじゃれあっていられるのも後少しなんだなぁと少し悲しくなってしまった。
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文化祭、体育祭が終わり、いよいよ1番生徒が楽しみにしてる後夜祭だ。
文化祭、体育祭の結果発表、公開告白やミスター、ミスの決定等イベントが目白押しだ。
「みなさん!それではお待ちかね!文化祭、体育祭の結果発表です!!!」
文化祭は、1番優秀なパフォーマンスをしたクラス、展示をしたクラスに1つずつ景品と表彰が渡される。
まぁ僕らのクラスは手抜きだからもらえるはずがないけど
どちらかというと、どのクラスも体育祭の結果が気になるんじゃないかな。
当然、文化祭の結果発表で僕らのクラスは呼ばれなかった。
「それでは体育祭の結果発表にうつります!」
結果は3位から順に発表されていく。
僕らのクラスはなかなか良い成績だったと思うんだけど、、、。
「まずは3位!、、、、、2年5組!!!」
呼ばれたクラスが歓声を上げた。
次で呼ばれなければ僕らのクラスが優勝だろう。
「それでは2位の発表です!第2位は、、3年4組!!」
司会が僕らのクラスを呼んだ。
あぁ呼ばれてしまった。
結構良い成績だったと思ったのに、結果は2位だった。
僕のクラスからは少し残念というような声が上がった。
「1位は、、、。1年7組です!」
優勝は一年生か。
「あ、真壁のクラスじゃん」
礼央がそう呟いた。
たしか真壁は100メートル走で優勝していたな。
本当に運動できるんだな。
結果発表と受賞式がおわり、いよいよ後夜祭が盛り上がる。
「さぁみなさんお待ちかね!この中に告白したい奴はいるかー!!!」
その声に何人かが前に出る。
もしここで僕が前に出て、礼央が好きだって言えたらなぁ
そんなことを考えながらカップル成立を見ていた。
「こんなの成立するっていう自信がなきゃやらないよなー」
忠がつまらなそうに言った。
でもその顔には俺も公開告白したいと書いてあるようだ。
羨ましいと思ってるのが伝わってくる
『羨ましいなら忠もやれば良いんじゃない?(笑)』
「ばっ!!!ちげーよ!!俺はこんなのよりミスターが誰か気になるんだよ!ひょっとしたら俺かもしれないだろ!」
ミスターとミスは、立候補とかは関係なく、全校生徒と先生からの投票で決まる。
各々1番カッコいい可愛いと思うと人を書いて、その票数を集約して決まる。
いくら平等といっても、、、、
『忠はないと思うよ、、、、』
だって成績悪いから先生の票入らないだろうし
「うるせー!!わかんねぇだろ!!!まぁ1番有力なのが近くにいるから望み薄だけどな!!!」
1番有力
それは礼央のことだ。
外見も良くて、キャプテンで、ほとんどの生徒が礼央に入れる。
それに成績も授業態度いいから先生からの票が入りやすい
現に二年生の時は、ミスターに選ばれた。
「それでは、今年のミスターとミスの発表です!!!!」
司会者の声に忠が身構えるも、礼央にお前はないぞと言われまた2人でじゃれている。
そんな2人をわらいながら見ていた。
「今年のミスは、、、2年1組鈴木朱梨さん!!」
その名前に心臓がはねあがった。
鈴木朱梨、、、バスケ部のマネージャーで礼央の彼女。
嬉しそうに壇上に上がる姿を見ながら、急に礼央をミスターにして欲しくないという気持ちがこみ上げてきた。
「そして、今年のミスターは、、、、、、3年4組高橋礼央さん!!」
ああやっぱり礼央か、、、
一緒に喜ぶはずだったのに、全然笑えない。
壇上に上がらないでくれという思いがこみ上げる
「おい呼ばれたぞ!早く行けよ!!!!」
「いや、、、あの、、、俺は、、」
周りが礼央をはやし立てる声も
「真琴、、、大丈夫?」
真っ青な顔をした僕を心配する忠の声も、よく聞こえない。
気づいた時には礼央は壇上にいた。
「なんと、今年のミスターとミスはバスケ部のカップルです!!!」
司会がそう言って2人をさらに近づける。
「キスしろー!キスだー!」
ありがちな高校生のノリも今の僕にはこれ以上辛いものはなかった。
礼央がどんな顔をしているのか、彼女と何を話しているのか遠すぎてわからない。
そんな中でもキスコールは止まらない。
「きーす!きーす!」
「いや、お前らなぁ!」
「礼央先輩、いいじゃないですか。キスぐらい」
「いや、朱梨、俺は、、、」
「私、絶対別れませんから」
「え、、、ちょっ、、、」
2人がキスをした瞬間周りの歓声は一層大きくなる。
でも、僕には何も聞こえなかった。
あの時と一緒だ。礼央が目の前で告白した時、、、
いや、それよりひどい
僕はその場にいることができず、誰にも気づかれないようにゆっくりその場を後にして中庭に向かった。
みんな校庭にいるから、中庭はびっくりするぐらい静かだ。
馬鹿だな。
礼央の気持ちが自分に向いてるんじゃないかなんて勘違いして、、、
特別なんじゃないかなんて、、、そんな訳ないのに
僕は、、、ただの幼馴染。
「おい!」
その声に振り向くと、息を切らせた真壁が立っていた。
期待していたのバレているだろうか。
そう思うと恥ずかしくて真壁の顔を見ることができない。
僕は真壁に背を向けたままだった。
「お前、泣くぐらいなら早く自分の気持ち伝えればいいだろ、、、」
真壁はまだ息を切らしている。
応援席から走ってきたのか、、、
真壁の応援席、僕たちのクラスと真逆の位置だろ、、、
「だ、だいたい、、、あんな奴のどこがいいんだよ!そんな叶わない恋愛なんか早く諦めて、もっと楽しい恋愛した方がいいだろ」
叶わない?
わかってるよそんなことを。
それでも好きなんだから、、、仕方ないだろ。
「叶わないならさ、、、もう本当に、、俺と」
『お前にわかるわけない』
「え?」
『本気で人を好きになったことないお前なんかに、、、、この気持ちがわかる訳ない!!!』
僕が真壁に怒鳴った瞬間、後夜祭の花火が上がった。
その音で我に返った僕は、その場から走って逃げ出した。
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