アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
騒々しい訪問者
-
夏の終わりの心地よい西日に
ウトウトし始めたとき、
奴が表れた
「シュン!!ここにいた!」
「うわ⁉」
「あれ…エリック…」
パタパタと走ってきた
エリックの頬は間抜けな湿布が
貼ってあった
「やぁ、ルイ!シュンの隣いいなぁ…」
「はぁ…?」
「フフ…エリック、その湿布なぁに?」
あぁ、これ?
と湿布を触りながら、エリックは笑顔で、
「シュンを怒らせちゃったのかな?」
「かな?じゃなくてそうだよ!バカ!」
「えぇ…エリック、シュンに
何をして怒らせたの?」
エリックに言われる前に、先にルイに弁明しておく
「こいつ…エリックが…シェールとか、
パートナーとか訳のわからないことを言うから。」
俺がそう言うと、ルイはキョトンとして、
「あぁ…そっか…あれ?エリック、
もしかしてシュンに説明してないの?」
説明?なんのことだ?
エリックは苦笑いを浮かべながら、
「あ~…嬉しすぎて忘れてた」とこぼした。
そんなエリックに盛大な溜め息をつき、
蔑んだ目で見上げるルイ。
可愛らしい顔からは想像できなかった
くらいの真顔だ。
それからルイは俺にまた向き直り
「あぁ、ごめんね?シュン…
エリックが何も説明してなくて…驚いたよね?」
「まぁ…」
「あのね、シェールって言うのは…」
このブリュンティエール学園フランス本校では
いわゆる「協力体勢」を大切にしていて、
課外活動や校外実習活動、校内大会などでは
2人1ペアの「パートナー制」を
導入しているらしい。そのパートナー2人の
ことを『シェール』、フランス語で
貝殻の意味で呼び、貝殻のように2人が重なり、
力を合わせて学び歩んでいくという意味らしい。
そのシェールにも条件があり、
寮が別であることと、同じ力量であること
が条件らしい。
「…でも…なんで俺なんだよ?」
「それは…「俺の力量に合う人物が今まで
この学園にはいなかったから…らしいけど?」
サラリと言い切るエリック
「不思議と…誰も俺とシェールになって
くれなくて。教室陣も、まぁ
お前と組める奴はそうそういないからって言ってて」
ニコッと微笑むエリックはどこか、寂しそうにしていた
「そこで…日本から天才ショコラティエが
来るなんて言うんだから、みんなきっと、
エリックとシェールになるだろうって
噂してたんだ」
「ふーん…」
そういうことか。
事情はわかった。
ガタンと椅子から立ち上がり、10cm以上、
上にあるアクアマリンの目を見上げる
【The summer remainder
fragrance that is not hot】
[暑くない夏の残り香り]
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
10 / 232